ゴメンナサイ
投稿者:ねこじろう (147)
消毒薬とカビの入り交じった匂いが鼻腔をくすぐる。
俺は黒く古びた長椅子に座っていた。
目の前には安っぽいリノリュームの廊下が左右に伸びている。
突然横手の扉が開き、白いナースキャップを被った年老いた看護師が顔を出し「生まれましたよ」と興奮した面持ちで言った。
俺は立ち上がり看護師の背中に従いながら、もどかしげに室内に入る。
正面奥窓際のベッドには妻の理菜が、憔悴しきった顔をこちらに向け僅かに微笑んでいた。
さっきの看護師が白い布にくるまれた何かを胸に抱きながら俺の傍らに近づくと、
「ほら、元気そうな息子さんですよ」と言って微笑んだ。
俺はどれどれと白い布の狭間を覗き込む。
そして一瞬で全身が総毛立った。
確かにその裸の体は小さく赤子のようだ。
だがその顔は異様にデカく脂ぎった中年男の容姿をしていた。
男はそのギョロギョロとした両目で俺の顔を睨んでいる。
すると唖然として立ち尽くす俺の肩を、いきなり誰かが叩いた。
うわあああ!
驚き顔を上げ目を開くと、目の前には心配げな年老いた女の顔。
さっきの看護師が心配げに言う。
「大丈夫ですか?ひどくうなされてましたけど。
それよりたった今生まれましたよ。
良かったですね、母子ともに健康です」
俺は待ち合い用の長椅子を立ち上がると、看護師の背中に従い病室に入る。
正面奥にある窓際のベッドに横たわる妻の理菜。
疲れきった顔をこちらに向けている。
すると白い布にくるまれた何かを胸に抱く看護師が近づくと「ほら、元気そうな息子さんですよ」と笑顔で俺を見た。
俺はちょっと不安な気分で覗き込む。
そしてほっとした。
ただの糞女ですやん
遺伝子検査は抜かりなくやっておかないとね☺️
托卵完了