そして誰もいなくなった
投稿者:ねこじろう (147)
「真結美、千鶴、お前たち、、、
見えているのか?」
と呟く。
きょとんとした顔の千鶴から思わず彼は目をそらす。
その視線の先には壁際の大型テレビ。
画面では騒々しいお笑い番組が流れている。
すると突然チャイムが鳴り画面は報道スタジオに切り替わった。
スーツ姿の男性が深刻な面持ちで記事を読み上げている。
「たった今入ったニュースです。
本日、東京羽田20時発の福岡行きの飛行機107便が20時30分頃、中国地方の山脈上空辺りで消息を経った模様です。
今現場周辺では警察や自衛隊そして地元の消防団などが救出活動を行っているようなのですが、恐らくは山中に墜落している模様で乗組員ほか乗客102名の生存は絶望的という情報が入っております。
繰り返します。……」
竜三は「え!?」と小さく叫び画面から視線を外すと、目の前に座る真結美と千鶴の顔を青ざめた顔で交互に見る。
真結美が父の豹変に少し驚き何か懸命に喋っているのだが、何故かその声は耳には入ってこない。
やがて二人の姿は少しずつセピア色に変色すると、まるで画像の乱れたテレビの一場面のように徐々に形が崩れだした。
そして最後は蜃気楼のようにユラユラ揺らめくとフッと消えてしまう。
さっきまで竜三の隣で微笑んでいたキヨも、いつの間にかいなくなっていた。
そして誰もいなくなった広いテーブルに一人、竜三はしばらく呆けたような顔で座っていたが、やがて立ち上がると夢遊病者のようにフラフラと歩き襖を開ける。
それから仏間の片隅まで行くと、そこでガックリ膝をついた。
彼の目の前の壁沿いには白いマットが一枚敷かれている。
そこには一人の老婆が紺の下地にちりめん柄の着物姿で仰向けに横たわっていた。
上方には数匹のハエが忙しなく飛び交っている。
その白髪は半分以上が抜け落ちており顔はどす黒くげっそり痩せこけ、ビー玉のような無機質な瞳の黒目はただ天井を睨んでいた。
着物から覗く手足は紫色に筋張り棒のようにか細い。
竜三は老婆を愛しげに眺めながら、
ねこじろうさん頑張りますね
早速のコメントありがとうございます。
─ねこじろう
猫さん大好き
いつも応援してます。
このサイトも人がいなくなりそうで怖いです。もっと盛り上がってくれるといいんですが。
いつも応援ありがとうございます。
これから夏になると怪談シーズンですから、
盛り上がりますよ
─ねこじろう
同じようなサイトみかけましたよ