お客さん、幽霊とか信じますか?
投稿者:ねこじろう (147)
早く、、、
早く車から出ていってくれ!」
運転手の切羽詰まった感じの物言いに、慌てて三島は車から外に出る。
そしてすぐに後ろを振り返ったその時だ。
彼は一瞬で背筋が凍った。
助手席のウインドウ越しに、影のような顔をした長い黒髪で純白のウェディングドレス姿の女が見える。
すると後部ドアがバタンと閉じるとともに車はゆっくり前進しだす。
それからエンジン音を唸らせながら一気に加速すると、勢いそのままに敷地奥のフェンスに激突した。
─ガシャーン!!
敷地内に反響する強烈な破壊音。
呆然として立ち尽くす三島の視界には、
大破し、もうもうと白い煙を吐くタクシーの変わり果てた姿。
気を取り直した三島が車のところに行こうとした時だ。
車後部ウインドウを通して、車内が一瞬で青い炎に包まれるのが見えた。
それからタクシーの後ろでガックリとアスファルトに膝をついた三島の背後には、心配げな顔で遠巻きにその様子を伺うマンション住人たちの姿があった。
三島は急いで携帯を出し119に連絡した後、間近で車内がメラメラと燃え上がっている車を改めて見ながら考える。
─結局さっき車の助手席に座っていた女性、、
あれは誰だったんだ?
教会で事件を起こしたあの女?
女に放火されて亡くなった花嫁?
それとも美奈代さん?
……………
いや、
今となってはそんなことはもうどうでも良いんじゃないか?
ただあの運転手がウエディングドレスの女性を自分の娘だと最後まで信じてくれてさえいたら、それでいいんではないか?
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これに似たタクシーの話あったよね。
コメントありがとうございます。
─ねこじろう