一年前の話。
大学生時代に付き合っていた元カノが出てくる動画をYouTubeでたまたま見つけた。
キャンプ系のユーチューバーとしてそこそこ有名みたいで過去の動画を遡るとキャンプが好きな芸能人が出演するイベントにも呼ばれていた。
気持ち悪いとは思うけど…私と別れたその後の彼女が気になって一から動画を見ていった。
弁護士を目指して院まで進んだとは聞いていたが卒業後は普通の会社に就職して3年前に配信者としてデビューしていた。
動画の彼女はこれまで見たことないくらい生き生きした感じでキャンプライフを楽しんでいるように見えた。
北海道から九州まで様々な土地でキャンプしていたが…1ヶ月前の福岡県の動画を機に投稿は止まっていた。
まだ続きがありそうな終わり方だったのでコメント欄も心配な声が寄せられていた。
私は気になって共通の友人に彼女のことを尋ねてみたが、社会人をなってから音信不通となったらしく連絡は取れなかった。
***
2ヶ月ほど過ぎた頃…
私は会社からの要請で1週間の休みを取ることになった。
久しぶりに大型の休みをもらったが、これといってやることもなくなんとなく家でYouTubeを見漁っていたらふと元カノの動画を思い出した。
「そうだ、彼女が最後に行ったキャンプ場に行ってみよう」
キャンプなんてやってことなかったが、今は現地でテントも道具も借りられるところがあるんだね。
最低限自分で用意が必要なものだけ集めて東京から福岡へ飛行機で向かった。
***
空港に着いてから近場でレンタカーを借りた。
九州自動車道を2時間ほど走らせたところに彼女が最後に訪れたキャンプ場があった。
山の麓にある最近できたような綺麗な場所だった。
受付を済ませて広場に向かうと既にテントや道具の準備はしてもらっていた。
彼女がおそらく撮影していたであろう場所をひとしきり歩いた。
こんな場所にいるはずもないのに…あの曲のフレーズが浮かんで今更だけど恥ずかしくなった。
それからテントに戻ってしばらく横になった。
***
気づくとすっかり夜が更けていた。
テントを出ると誰かが焚き火のそばで座っていた。
『久しぶり』
「久しぶりだな」
『元気だった?』
続き気になるー!
このお話は、これで終幕で良いと思います。
すべてを語らず、余韻を残す美しいストーリーでした。
作者です。コメントありがとうございます!
拙い文章ですが、少し実話が含まれていましてお別れの意味を込めて書いてみました。
面白そう(まだ読んで無い)