アパートにいたおっさん。

堂々と話せる内容ではないけど…
売れてない俳優やってたときに月3万の六畳一間のボロアパートに住んでいた。

舞台の仕事が不定期に入ったから時間帯が被らないように漫画喫茶で夜勤バイトしていたが…勤務中に居眠りしてクビになった。
電気もガスも水道も止められ、しまいには家賃も滞納するようになった。
大家が来るたびに次のバイトが見つかるまでと土下座したが、怒号も日々に強くなっていった。

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家賃を滞納して2ヶ月目が差し掛かったころのこと。

日中に出かけると他の住人にちくられるので深夜0時すぎに買い物などを済ませていた。
いつものようにそっと部屋を出ると部屋の斜め前に体育座りしたガリガリのおっさんがいた…

びっくりして思わず声が出てしまった。

おっさんは私を見つけるとニコニコしながらこちらを見つめた。
めっちゃ怖かったけどアパートの住人かなと思って一応あいさつした。

「こ…こんばんわ」

だがおっさんから返事はなかった。

施錠してる間に襲われるのでは…？
警察の通報するのも考えたが、状況的に滞納してる私が圧倒的不利なのは間違いない。

泣く泣く外出を諦めることにした。

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明け方、恐る恐る部屋を開けたがその頃にはおっさんはいなくなっていた。

その日朝は稽古、夜は日雇いのバイトがあったので夜遅くアパートに帰宅した。

昨日のこともあって階段からそっと廊下を覗いたが……誰もいなかった。

とりあえず一安心。

部屋の鍵を開けて電気をつけると…
ニコニコしたおっさんがベッドの上で体育座りしていた。

驚いた私は一目散に近所のコンビニに駆け込み警察に通報した。

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おっさんは正体はなんと大家の息子だった。
脳に障害があるらしく夜な夜な外を徘徊する度に警察に保護されているそうだ。

今回は私が家賃滞納していた件もあり厳重注意ということで被害を取り下げることになった。

でもそんな状態の人間が部屋の鍵を開けて入れるのだろうか。