誰そ彼(たそがれ)
投稿者:ねこじろう (147)
長編
2024/03/23
15:01
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するともう一人の主婦が聞く。
「まぁ浮浪者かしらねえ?
食べるものとか寝るところがなくて、とうとう死んじゃったんじゃないの?
辛かったでしょうね」
そしたら花柄のエプロンの主婦は首を横に振りながら、こう言った。
「それがね、その男の人本当に幸せそうな感じで目を瞑っていたのよ。
死ぬ前に何か良いことあったのかしらね」
「ばったり初恋の人に会ったとかね」
二人の主婦は目を合わせると、さも楽しそうにけたけた笑いだした
そしてその明るい笑い声は雲一つない秋空に次々吸い込まれていった。
【了】
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タイトルが秀逸
コメントありがとうございます。
─ねこじろう
物悲しい話。
やっぱり温かい家庭っていいな。
長期間孤独に身を置くと幻覚まで見えるようになるのかもね。
ぽっぽや見た時と近い感情になった
暖かみがあると感じさせつつさり気なく救いのない、いや救われる? いや、なんだろう.やはり救いのない、だからこその不条理系怪談、ということなのかな。
コメントありがとうございます。
─ねこじろう