鳴 き 声
投稿者:ねこじろう (147)
そして靖子がアパートに引っ越して3ヶ月が過ぎた、日曜日のこと。
午後から外出しようと思った彼女が玄関から廊下に出た時だった。
ベージュのスエット姿の初老の男性が隣の部屋の玄関前に立ち、呼び鈴を押したりドアを叩いたりしている。
背後には制服の警察官が立っていた。
「何かあったんですか?」
訝し気に尋ねる靖子に対してその男性は険しい顔で、
「いやね、私ここのアパートのオーナーなんですけどね、こちらの相田さんがもうかれこれ3カ月家賃を滞納されてまして、何度となく電話してるのですが繋がらなくて困っておるんですわ。
口座引き落としにされているので多分、銀行口座の預金残高が不足しておるのだと思うのです。
一応契約上3カ月家賃を滞納した場合こちらから契約も解除できることにはなっておるんですが、滞納する以前は一度も滞りなくきちんと入金されておられたのに今回突然続けて3カ月も滞納されておられるんで、もしかしたら何か事件か事故にでも巻き込まれているのでは?というのもあってですね。
それと以前から同じ階の他の住人に、こちらの部屋には様々な年齢や背格好の男性が出入りしているということも耳にしていましたもので、、、
今日は何かあった時のため念のためにこうして警察の方を同伴して朝から訪ねてみてるんですよ」
と言うと、また呼び鈴を押したりドアを叩いて呼びかけたりしている。
確かに靖子もここ最近のお隣さんの様子には違和感を感じていた。
集合ポストには郵便物が溢れかえっているし、あれほど続いていた猫の鳴き声も一切しなくなっていたからだ。
いよいよ埒が明かなくなったのか大家の男性は若い警察官の顔を見て一回頷くと、ポケットからマスターキーを出し鍵穴に突っ込み解錠すると、ゆっくり玄関のドアを開ける。
玄関口にはスニーカーが一つピンクのサンダルが一つきちんと並んでおり、その先はリビングまで廊下が続いているだけだ。
途中の廊下沿いには寝室、浴室、トイレがある。
「相田さ~ん、相田さ~ん」
何度となく玄関口に立った大家と警察官は呼び掛けてみるが、何の返事もない。
靖子も2人の背後に立ち不安げに見守っていた。
それから大家は「相田さん、失礼しますよ」と言うと靴を脱ぎ、廊下に上がる。
警察官も続いた。
靖子は玄関口に立ったまま心配げに様子をうかがっていた。
こわいでしゅ( ;∀;)
気味が悪かったです!
怖い((( ;゚Д゚)))