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不思議体験

今日日さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

「ほしい、ほしい」と嘆く女性の夢を見た話
短編 2021/03/14 17:25 2,656view

結婚してからもう5年目に入ろうとしています。
しかし、未だに私たち夫婦のもとには子どもが授かることはありません。
今は、子どもがいなくても夫婦二人の生活も良いものだと心から思え、ゆったりとした気持ちで緩く妊活をしているのですが、そう思えたのは、ある不思議な夢がきっかけでした。

もともと私は生理不順で、結婚してすぐに婦人科へ行ったところ、排卵障害が見られることが分かりました。
夫側も診察してもらいましたが、特に問題はなかったので、私のこの排卵障害による不妊と言うことがはっきりしています。
これが分かったのは結婚してすぐだったのですが、まだそれほどまで悩むことはありませんでした。
というのも、同じように排卵障害を患っていても、自然に妊娠した人は多く、むしろ排卵障害であることを自覚せずに妊娠出産した人も多いということを聞いたからです。

しかし、それから時は流れ、周囲の友人は皆出産。
テレビで芸能人の妊娠出産のニュースを目にするたびに、気が落ち込むことも多くありました。
この頃から少しずつ気持ちが落ちていったのだと思います。

ある日、結婚予定の兄夫婦に妊娠発覚したという知らせが届きました。
まだ入籍も両家の顔合わせもしていないのに、妊娠したという知らせは私の心に影が覆うのには十分な出来事でした。
兄の相手である義姉が自分と同じ年であることも大きく影響していたのだと思います。
なぜ自分と同じ年齢なのに、いとも簡単に妊娠できるのか。
私は結婚と同時に仕事も辞め、遠方の地に行くことになったのに、そのままの暮らしを続けられるなんてうらやましい。
両親にとって初孫を生むのは自分でありたかった。
子どもが欲しいから、子授けにご利益のある神社へお参りしたり、妊活に良いサプリ、ドリンクなども試しているのに。
という気持ちでいっぱいになってしまい、その日からほとんど毎日のように泣き暮らすようになりました。

もっと悪い感情を抱いた時もあります。
素直に「おめでとう」「良かったね」と声を掛けられない自分にいら立つことも多くありました。

そんな気持ちが胸に広がっていたからでしょうか。
ある日、夢に髪の長い女性が現れました。
その女性は見るからに貞子のような白い衣装を身にまとい、どこか焦点の合わない表情をしていました。
そして、「髪の毛がほしい」「綺麗な目がほしい」「ちょうだい、ちょうだい」とひたすら私を追ってくるのです。
鬼気迫る状況に恐怖を感じましたが、ふとこの女性に恐怖だけではない感情を抱きました。

すぐに目が覚めたのですが、怖いというよりも自分自身があの女性のような状態になっていると言うことを理解しました。
努力や頑張りではどうしようもないのに、とにかく子どもが欲しいと思って泣き暮らしている私は、夢の中に出てきた彼女と同じ状態。
まるでご先祖様や守護霊が「こうなってはいけないよ」注意をしてくれたようにも思います。
この夢を見てからは、なんとなく気持ちが落ち着くようになりました。
たぶん、周りから何か言われても分からない状況だったと思うので、夢で第三者から見た姿を見せてもらい、スッキリできた気がします。
怖い夢ではありましたが、いい結果をもたらしてくれた夢だったと思います。

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