変なきりんさん
投稿者:ねこじろう (147)
「『変なきりんさん』
これは愛花里が最近よく言ってた言葉です。
最初のうちはそこまでは気に止めていませんでした。
というのは、幼稚園児の子供というのは覚えたての言葉を状況も考えずに喋りたがるものですもんね」
大葉さんはそう言って軽く微笑んだ後、悲しげにうつむいた。
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S市郊外にある市営団地に住む大葉さんは今年三十路で、ショートの髪を明るい茶髪にした細目の女性である。
6帖ほどの畳の間に正座した彼女の背後には小さな白木の祭壇があり、飾られたお花とお供え物の前にはニッコリ微笑む幼い女児の遺影が置かれていた。
喪服姿の大葉さんは続ける。
「私の住んでいる団地は古くてエレベーターが無く、三階奥にある自宅に行くには階段を利用しないといけません。
その日もパートの仕事を終えた私は、いつも通り愛花里を幼稚園に迎えに行きました。
その後途中に買い物を終え団地に着くと、娘と二人レジ袋をさげて一歩一歩コンクリートの階段を登っていたんです。
そして二階に行き着き、次は三階という時でした。
『あ、変なきりんさん」
突然娘が立ち止まり指差しながら言います。
『え、どこに?』
と私はその先に視線をやりました。
すると娘は『ほら、いちばん奥に』
と嬉しそうに言うので、私は渡り廊下の突き当たりの辺りに目を凝らします。
でも見えるのは赤茶けた金属製の玄関扉と、その前の渡り廊下だけです。
すると娘は同じ方を見ながら「バイバイ」と笑顔で手を振ると、再び元気よく階段を登り始めました。
─あそこは、うちのちょうど真下で確かおじいちゃんが独りで暮らしている部屋では、、
いや〜怖かったです。
コメントありがとうございます。
─ねこじろう
面白かった。興奮しました。
コメントありがとうございます。─ねこじろう
怖かった。
最後意味分かった
コメントありがとうございます。
─ねこじろう