【慎太郎くんのいたという家】
投稿者:ねこじろう (147)
「お前、この件についてやたらに詳しいけど、何でだよ?」
堀江が彼の後方から質問する。
藤木はチラリと後ろを一瞥すると、また話しだした。
「いや、実なは、俺のオヤジの弟つまり叔父さんが、慎太郎くんの住んでいた家の近くにある住宅街の一軒家に住んでいるんだよ。
この間じいちゃんの法事で親戚一同が寺に集まった時、話してたんだ」
「なるほど。
だったらもしかしたら今から俺たちが行く廃屋に、慎太郎くん来てるかもしれないよな」
と堀江が言うと、
愛実が「うわあ、なんだか怖い」と言って眉をひそめ、藤木の肩に触れた。
※※※※※※※※※※
四人が話で盛り上がっている間に、車は目的地である古い住宅街の入口に差し掛かっていた。
昭和の終わり頃に山を切り崩して計画的に作られたというその住宅街は、同じような二階建ての家が整然と建ち並んでいる。
「叔父さんの話によると、慎太郎くんの住んでいた家は、この住宅街を抜けた小高い丘の上にあるそうだ。」
言いつつ藤木はハンドルを操作しながら、建ち並ぶ古い住宅たちの間の路地を進んでいく。
時刻は午後3時を過ぎていて、どんよりとした空は薄雲り模様である。
やがて車は住宅街を抜けた。
藤木は車を道路端に停止すると改めて周囲を確認した上に前方を指差し、
「あそこだよ。あの丘の上辺りに、慎太郎くんの住んでいた家があるみたいだ」と言うと再び車を動かし始める。
雑草地に挟まれたなだらかな傾斜の道を登りきると、砂利の広がる平地が広がっており、藤木はそこでまた車を停止する。
車の前方100メートル辺りに、雑木林に囲まれた二階建ての一軒家がポツンとあった。
「どうやら、あれのようだな」
そう言うと藤木はエンジンを切り、車を降りる。
他の三人も各々降りた。
藤木を先頭に目的の一軒家に歩き出す。
林の間を抜けると、古びた二階建ての家屋がその姿を現した。
錆びた鉄製の門は施錠されておらず藤木は両手で開き雑草で荒れ放題のアプローチを通り、玄関へと歩く。
3人もあとに続いた。
白の玄関扉には、赤のスプレー缶により「危ない、入るな」と落書きがされている。
「どうやら、俺たち以外にも物好きが来ているようだな」
そう言ってひげ面の堀江がニヤリと笑うと、ドアノブを掴んで力を込めてみる。
怖いです ゚ ゚ ( Д )
コメントありがとうございます。
─ねこじろう
読み応えありました。
コメントありがとうございます。─ねこじろう
慎太郎くんに感情移入して読んでしまったのでなんだかもの悲しくせつない気持ちになりました。
後はご想像にお任せします。か。
怖い話のオチ考えるのは大変ではあるけど。
少なくとも何かは考えて欲しい