【short_10】用務員のおじさん
投稿者:kana (210)
ボクがまだ小学生のころ。学校が終わってもグラウンドで遊んでいたボクは、夕陽も沈み始めたし、そろそろ帰ろうと思っていた。・・・が、その前にどうしてもトイレに行きたくなって、学校のトイレを使わせてもらうことにした。
玄関で靴を履き替え、急いでトイレに向かう。
その時、用務員のオジサンに呼び止められて、ギョとした。
「おい、まだ学校に残ってるのか?早く帰れ」
そう言う用務員さんの右手には、とても大きな枝切ばさみが握られていた。怖い。
ボクは「ト、トイレ貸してください!もれちゃう!!」と言ってその場を逃げ出し、
一目散にトイレに向かった。
するとどうだろう、用務員のおじさんがボクの後を着いてくるではないか。
「えっ、どうしよう・・・怖い!」だが、実は用務員さんもトイレに行きたいだけだった。
「なぁんだ・・・」ボクは安心して小の用を足した。
用務員のおじさんは一番奥にある大の方へ入って行った。
そして扉を閉めると、中で ジョギン!! と大きな音がした。
あの大きなハサミで何かを切った音だ。
しばらくするとおじさんは何事もなかったかのようにそこから出てきて、用務員室に戻って行った。「早く帰るんだぞ!!」と言う用務員さんに「ハーイ」と答えた。
その瞬間、大のトイレの方からも、小さな声で「ハーイ」と聞こえたような気がした。「???」ボクは気になって大の方を覗き込んだが、・・・特に何もなかった。
翌日もまた、同じように夕方まで遊んで、またトイレを貸してもらう事にした。
小の方で用を足した後、少し気になって、昨日用務員さんが入った大の方を覗き込んだ。
「うわぁぁぁぁぁああ!!」そこにはパイプに紐をくくり付けて首吊りしている子供がいた。
「おい!!大丈夫か!すぐに出ろ!!」そう言って入ってきたのは用務員のおじさんだ。
ボクは肩を掴まれトイレから出された。
そしておじさんは大きなハサミで首吊りしている子の紐を ジョギン と切った。
その瞬間、その子供は消えてしまった。
「毎日、この時間なんだよ。・・・いいか、このことは秘密だぞ・・・」
詳しいことはわからない。判っているのは、この学校には毎日同じ時間に首を吊る子供の霊がいて、それを救っている用務員さんがいるってことだけだ。
よく考えられた内容で面白い。
面白い!いつもながらアイディアも文章力も凄い!
kanaです。↑ありがとうございます。
そんなにおだてられると木に登っちゃいますよ。
よかったらぜひ怖いねボタン押してってください。
shortみたいな作品でも上位に食い込めるのか、一度見てみたいっすw
ありがとう。私は日本語の初心者です。日本語が下手ですが、分かってから恐怖と妙を感じする。とても良い話。
↑kanaです。そうですか。私のshort怪談なら、短いので日本語の勉強にも役立つかもしれないですね。がんばってください。
枝切狭って見た目鋭利で怖い おじさんがヤバイと思わせてからのまさかのオチ