漂う黒い煙の正体は？

職場の天井あたりにグレーと黒が混じったような不可解な煙が充満していた。
H子さんは一瞬火事か！？と慌てていたが、職場の雰囲気は普通であり、誰も黒い煙の存在に気付いていない。

しばらくすると煙は一瞬のうちに全て消え失せてしまったようだ・・・。

私もその時は職場で担当場所を整理整頓していた時だったが、目の前の作業で精一杯だった。
H子さんから煙の話を聞かされた時も私は何も感じなかったし見えなかったと答えたが、実はH子さんには言わなかったことが１つだけある。

H子さんが煙を目撃した場所から何かの声が聞こえたことだった。
男性２～３人ほどが誰かと電話でもしているようなせわしない話声だった。
もちろん、そこには誰も居なかったし、窓もないので外からの声も考えられない。

黙っていた理由はH子さんを怖がらせたくなかったから。
黒い煙と謎の声の主が同一存在かどうかは分からないが、何となくH子さんには話さない方がいいような気がしたのだ。

それからは特に何も変な現象は起きていない。
黒い煙は一体何者だったのだろう。
声の主は誰に何を話していたのだろう。
謎は遺されたままだが、この世には科学では証明できないことも多い。
下手に深入りしない方がいいこともある。

煙と声のことはさっさと忘れてしまった方がよいのかもしれない・・・。