長編
2021/03/11
12:42
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定時になった。
いつものルートで帰宅していた私は、行くさきに巨体の男が立っているのを見つけた。
どうやらこいつが通り魔らしい。
私は振り返り、全力で後ろへ逃げ出した。
巨体は追ってきているようで、ドスドスと足音が聞こえる。
ようやく私は目的地に着き、少し待った。
巨体が追いつき、果物ナイフのようなものを取り出した。途端、巨体は後ろから強烈なタックルを喰らい、前のめりに吹き飛んだ。
退勤前に元ラグビー部の友人に連絡を取り、待機してもらっていたのだ。
不意打ちのタックルはダメージが大きいらしく、巨体は呻いて動こうとしない。
念のため果物ナイフは取り上げて警察を呼んだ。
驚くべきなのか、巨体の男はYの兄だった。
当然Yの兄は現行犯逮捕されたし、恐らく共犯者のYも逮捕されるだろう。
余罪も追及されるらしく、しばらく出てくる事はなさそうだ。
幸い先輩の傷は残らず治り、同僚の傷は本当に大したことがなかった。
二人とも無事復帰してくれた。
Yは兄が逮捕されてから会社に来なくなった。どういう状況かは分からないが、兄が捕まり仕事どころではないのだろう。
あの兄妹は、これまでどれだけの人を傷つけてきたのか、考えるだけで恐ろしい。
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そんな煽りで律儀に襲ってきてくれるのか…
当初の目的を見失いすぎだろ
完全にバレてて死ねって言われたら当初の目的も見失うだろうwでもどちらにしても同じ会社の人間が立て続けに被害に遭ったらその線で捜査はするだろうし、遅かれ早かれ犯人にはたどり着いたろうね。