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不思議体験

やうくいさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

卓球場
短編 2021/03/10 19:54 2,089view
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高校時代、私は卓球部でした。
卓球を習ったことのある方はご存知かもしれませんが、卓球場には基本的に大きな鏡があり、その前に立ってフォームを確認することができます。
私の高校の卓球場にも大きな鏡が3枚並んでいました。一つ不思議な事があり、鏡の掃除なんてたまにしかしないため両端の鏡はかなり汚れているのですが、何故か真ん中の鏡だけいつもピカピカに磨き上げられているのです。
なんとなく仲のいい先輩達に聞いてみると、ニヤつきながらこんな話をしてくれました。
「うちの卓球場は、真ん中の鏡だけは磨かなくても常に綺麗なんだよなぁ。どうも訳ありの品を引き取ったらしいぞ。噂では、戦後に戦犯として処分された軍人の家から差し押さえられた物で、未だに軍人の怨念が篭ってるんだとよ。」
「そういえば、ピンポン球があの鏡に吸い込まれて無くなった事が何回かあるぜ。」
小学校の七不思議でもあるまいし、なんともありがちな怪談だなと鼻で笑った私ですが、その日からなんとなく鏡を気にするようになりました。ピンポン球を鏡に当ててみたり、鏡をじっくり見てみたりしてみましたが、当然ながら何の怪奇現象もなく、いつしか何の興味も持たなくなりました。

ある日のこと。戸締り当番だった私は窓や扉の施錠を終えて、卓球場に一人でいました。
なんとなく帰る気にならず、一人でスマホをいじっていたのですが、突然、何処からかピンポン球が跳ねてきました。
カーテンにでも挟まっていたんだろうか。

片付けないと私が怒られてしまうので、嫌々立ち上がった私は倉庫の方に向かいました。
ピンポン球をカゴに戻して、荷物を取りに戻ると、また同じ場所にピンポン球が転がっています。
流石におかしくないか。
私の脳裏に鏡の事が過りました。
そして、鏡の方を見て凍りつきました。
いつもはピカピカに磨き上げられた鏡面に、手形がびっしりとついていたのです。
鏡からピンポン球が飛び出してくるのが見え、更に腕が鏡からぬるりと出てくるのが見えた私は一目散に逃げました。
次の日、ピンポン球を床に放置していた件で顧問から怒られた私は、あれが夢でなかったのだと確信させられました。

学校の七不思議のような怪談でも、案外本当だったりするのかもしれない。
そう思わされる体験です。

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