視える叔母さん
投稿者:とくのしん (65)
俺には芸能人のような名前の叔母がいる。そうだな、例えるなら「高島礼子」がしっくりくるか。ここでは以下、叔母を高島礼子と称し、彼女に纏わる話を2つほど紹介したい。
はじめに高島礼子はスナックのママである。地元に根付いて早25年、若くして店を持ったものの、最近はコロナ禍で一時は廃業することも考えたが、今でも頑張って営業している。地元ではちょっとした有名人で、それは高島礼子がスナックを経営する傍ら、趣味で占いをやっていることに起因する。
高島礼子の占いはかなりあたると評判だが、気に入った人間しか占うことはない。彼女曰く「占いは怖いのよ。ぴたり当てたら恨まれたことがあるから」だそうだ。
だからいくら評判が良くても占いの店は開かないし、趣味以外で占うこともないという。
さて、前置きはこれくらいにして本題に入ろうか。
■貴子さん
「私も占ってちょうだいよ」
知人の貴子さんは高島礼子にそうお願いをしてきた。普段は常連客の男性と二人で来ることが多いのだが、この日は珍しく一人。話を聞けば占い目当てで来店していたそうだ。
最初は断っていたものの、お酒も入った貴子さんはなかなか引き下がらない。他の客も引けて貴子さん一人になったこともあり占うことにした。
高島礼子は水晶を主に使用する。タロットやら色々と使用するが、一番”視える”のは水晶らしい。水晶を通してその人の未来が視えるとか。
「それって霊視とかそういうのじゃないの?」
「それに近いかもね」
俺の質問に高島礼子は答えた。
水晶を通して貴子さんを視る。ぼんやりと現状の貴子さんが視えてきた。
「単刀直入にいうけど、よく一緒に来る男性とはずばり不倫関係でしょ?」
「・・・あたり」
「ごめんなさいね。今のは占いでもなんでもなくて、商売上見るだけで何となく察しがつくのよ(笑)それを踏まえて言うけど、あまりうまくいってないでしょ貴子さん」
「・・・」
「よくある話だけど、彼に奥さんとの別れを迫っているわね?原因はそれでしょ。でもね、彼は別れる気はサラサラないわよ」
「・・・どうすればいいと思う?」
「さっさと別れた方がいい。じゃないとあなた、この先とんでもないことに合うわ。そうね・・・具体的にいうと車難の相が視える。交通事故に遭う可能性があるわ」
「・・・そう。それじゃ肝に銘じておくわ」
貴子さんは立ち上がり
「お釣りは結構よ。占い代として受け取ってちょうだい」
1万円をカウンターに置き、そう言い残し店を後にした。
それから1ヵ月程して、高島礼子はスーパーに買い物に出かけた。カゴを手に商品を選んでいると、貴子さんを見かけた。だが、声を掛けようとしたところ貴子さんの様子がおかしい。やたらとあたりを見回していた。警戒しながら貴子さんは商品をバッグに入れた。そしてそのまま店の出口へと急いだ貴子さんの腕を高島礼子は掴んだ。
「貴子さん・・・」
その一言に貴子さんは驚いた表情を見せたが、すぐに全てを悟ったような表情を見せる。
「ね、やめよ?こんなことして捕まっても、彼があなたの身元引受人なんてなることはないから」
貴子さんの目からボロボロと涙が零れた。
「・・・ごめんなさい」
貴子さんはその掴んだ腕を振りほどき、店の外へと走り出した。
「ダメ!」
高島礼子が叫ぶと同時に、貴子さんは目の前の道路で車に撥ねられた。即死だった。
木田さん可哀想(T . T)
叔母さんも見え過ぎちゃうのは辛いですね
両親を殺害したのが育ててくれ虐待してた叔父さんとは複雑で、私だったら許せるだろうか考えさせられる話しでした。
木田くんとおじはどこへ行ってしまったのか
怖いというか、めちゃくちゃ面白かった。
高島礼子シリーズもっと読みたいですw