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妖怪・風習・伝奇

やうくいさんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

まなぐ様
短編 2023/06/27 21:01 8,052view
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目が覚めると朝になっていて、自分の部屋で寝かされていました。
台所へ行くと、祖父母がいて心配だったと言ってくれました。
どうしたのかと聞かれたので、貧血かもしれないと言って部屋に戻りました。
なぜ嘘をついたのか。別に風習を破って怒られるのが怖かったからではありません。
恐らく祖父母は怒らないでしょう。
しかし、祖父母に見られている間、ずっとお腹の中で目玉が動く感覚があったのです。

その日は登校日だったので、祖父母の目を避けて急いで学校へ行きました。
学校でも同じでした。友達に見られている間、ずっとお腹の中で目玉が動く感覚がするのです。気分が悪くなり私は早退しました。
その後も村の人たちに見られている間に、お腹の中で目玉が動く感覚は治らず、私は部屋に篭るようになりました。

祖父母はずっと心配してくれていましたが、顔を合わせたくなくて扉越しに会話していました。

数日後、私は都会に住んでいる両親に電話をかけ、迎えにきてもらう事にしました。
村から離れたら収まると思ったのです。
幸い両親は理解を示してくれ、迎えにきてくれました。
両親と会う時は覚悟していましたが、両親には見られても目玉が動く感覚はありませんでした。心底安堵したのを覚えています。

そして村を出る日。村の人たちが私を見送るために集まってくれました。
一斉に見られている時、まるで全身に目玉が出てきて動いているような感覚になり、あまりに気分が悪かったので走って車に乗って去りました。それ以来、村に帰ったことはありません。思い返すと、ある日突然村を出て行って、戻らない人が時々いたように思います。彼らもまなぐ様を見てしまったのでしょうか。
幸いな事に村を出て以来、体で目玉が動く感覚がした事はありません。
私はあの村には二度と戻らないつもりです。

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コメント(3)
  • 村人にのみ反応するまなぐ様、まなこ、がなまった言葉なのでしょうか。

    2023/06/28/13:02
  • こういうの、大好きです!(^^

    2023/06/30/09:31
  • 方言で目のことをまなぐといいますね

    2023/07/18/10:47

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