まなぐ様
投稿者:やうくい (37)
目が覚めると朝になっていて、自分の部屋で寝かされていました。
台所へ行くと、祖父母がいて心配だったと言ってくれました。
どうしたのかと聞かれたので、貧血かもしれないと言って部屋に戻りました。
なぜ嘘をついたのか。別に風習を破って怒られるのが怖かったからではありません。
恐らく祖父母は怒らないでしょう。
しかし、祖父母に見られている間、ずっとお腹の中で目玉が動く感覚があったのです。
その日は登校日だったので、祖父母の目を避けて急いで学校へ行きました。
学校でも同じでした。友達に見られている間、ずっとお腹の中で目玉が動く感覚がするのです。気分が悪くなり私は早退しました。
その後も村の人たちに見られている間に、お腹の中で目玉が動く感覚は治らず、私は部屋に篭るようになりました。
祖父母はずっと心配してくれていましたが、顔を合わせたくなくて扉越しに会話していました。
数日後、私は都会に住んでいる両親に電話をかけ、迎えにきてもらう事にしました。
村から離れたら収まると思ったのです。
幸い両親は理解を示してくれ、迎えにきてくれました。
両親と会う時は覚悟していましたが、両親には見られても目玉が動く感覚はありませんでした。心底安堵したのを覚えています。
そして村を出る日。村の人たちが私を見送るために集まってくれました。
一斉に見られている時、まるで全身に目玉が出てきて動いているような感覚になり、あまりに気分が悪かったので走って車に乗って去りました。それ以来、村に帰ったことはありません。思い返すと、ある日突然村を出て行って、戻らない人が時々いたように思います。彼らもまなぐ様を見てしまったのでしょうか。
幸いな事に村を出て以来、体で目玉が動く感覚がした事はありません。
私はあの村には二度と戻らないつもりです。
村人にのみ反応するまなぐ様、まなこ、がなまった言葉なのでしょうか。
こういうの、大好きです!(^^
方言で目のことをまなぐといいますね