旧道M峠沿いのドライブイン【やすらぎ】
投稿者:ねこじろう (149)
左手奥には座敷もあるようだ。
「こんにちは~」
遠慮がちに声をかけてみた。
すると客たちが一斉に、こちらを見る。
なんだか冷たい視線だ。
何も返事がない。
─ん?駐車場には、他に車とかは停まってなかったけどなあ
などと不振に思ったが、いづれにしろ営業はしているようだ。
とにかく、カウンターの真ん中辺りに陣取る。
目の前に置かれた下敷きのようなメニュー表を一瞥して目を疑った。
─かけうどん 30円、肉うどん 50円、カツ丼 100円、、、
おいおい、嘘だろ!この店。
メニューを見て驚いていると、いつの間に来たのだろう、白いランニングシャツに前掛けをした初老の男が傍らに立っていた。
白髪混じりの頭に、だらしなく無精髭をたくわえている。
顔色が悪くて、何だか生気が感じられない。
男はグラスの水を俺の横に置くと、冷たい目をしながら立っている。
店主だろうか?
俺はメニュー表を見ながら注文した。
「じゃあ、肉うどんで」
男は俺の注文に何のリアクションもなく、そのまま立ち去った。
雨足はひどくなる一方で、カウンターに座っていても雨音が聞こえてくる。
手持ち無沙汰なので雑誌でも読もうかと、カウンター左奥の雑誌の山に目をやる。
平凡パンチ、少年キング、ガロ、
聞いたことも見たこともないような古い雑誌が積まれていたので、取るのを止めにした。
しょうがないから、雑誌の山の上側に設置されたテレビに視線を移す。
昔の古い映画に出てくるような箱型テレビの画面では、ニュース番組が放映されているようだ。
映りも良くない。
髪を七三に分けた真面目そうなアナウンサーが、深刻な面持ちでしゃべりだした。
「ここで速報です。
大陸からの発達した熱帯低気圧の影響で一昨日より降り続いている雨は勢いが止まず、西日本の各地に大きな被害をもたらしております。
特にF市北方の山あいのあちこちで土砂崩れの被害が起こっており、多くの犠牲者がでています。」
不思議な体験でしたね。
残留思念みたいなものが白昼夢を見せたのでしょうか
残留思念、、、面白い考えですね
fromねこじろう
二番目のコメントの人が指摘した通りが近いと思う。