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心霊

Jesuisさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

若い女性と幼い少女。そして、祖父。
長編 2023/04/19 11:45 3,691view

この話は、私が高校生の頃から社会人までに起きた話です。

私自身は霊感なんてものはなくて、ただ何となく「いるなぁ」くらいは感じていました。
高校生三年生の頃、部活動を卒業した後は、就職試験もなかったので近くのゲオに立ち寄っていました。理由は暇だからという理由だけでなく、母が迎えに来るという連絡があったからです。漫画を読むのが好きだったので、学校が終われば歩いて行って、漫画を読むのが日課になっていました。

そんなある日、冬に近づいてくるとほんの少しだけ肌寒くなってきました。住んでいるところが雪が降る場所というのもあって、早めに手袋を用意しようとしていたのに忘れてしまいました。

ハァとため息ついでに手を温めながら、店の外で待つことにしました。母があと30分ほどで来るという理由があったので、事前に外にいれば見つかりやすいだろうという考えでした。

外の天気は、曇り。天気予報を見たら、今日から雪が降るという通知が来ました。
「うわ、最悪……これから雪降って来るのか。嫌だなぁ、早く母さん来ないかなぁ」

そんなことを言いながら、少しだけ暗い場所へ移動しました。暗い場所には、古めのトイレが男女ともに設置されていて、今も使われています。
何人か人が通るのを横目で見ながら、スマホを眺めていました。YouTubeで好きな動画を見るためです。

楽しみにしていた動画が更新され、その動画を見ていると、突然「○○ちゃん」と背後から、若い女性の声が聞こえました。たまに同級生が通りかかることもあるから、そのせいかなと思いましたが、振り返っても誰もいない。まさかと思って、女子トイレを確認しても誰もいませんでした。

「おかしいな。誰かから声を掛けられたはずなんだけど……」
そう思いましたが、学校の疲れもあったので、勉強の疲れなんだと言い訳して終わりました。

ですが、その後、不思議な現象は続きました。

トイレに行こうとしたら、扉が半開きになっていた所に髪の長い女性がゆらりと立っていたり。
お風呂に入っていたら、真後ろよりも少し上あたりから「ああ……」という女性の囁き声が聞こえたり……。

瞬時に「怖い」という感情が出てきて、すぐに布団に潜りました。
カタカタと震える身体とは裏腹に、女性の幽霊の声を聞くことはありませんでした。

――社会人になった、とある夏の日。
その日はとても暑く、仕事なんてやってられるか!と思えるほどに暑かったです。それに、新入社員だからというのもあって、当然サボることも許されません。

となると、真面目に仕事をするしかありません。ですが、何日か仕事を続けていると、体調面に違和感を感じ始めました。意外と小学生、中学生、高校生と風邪を引くことも無縁だった私が、体調が悪くなってしまいました。

すぐに休んで、病院に診てもらうと「インフルエンザA型」という診断を受けました。しばらく仕事を休んだら、体力が戻ってきて、動けないほどつらかった体調不良も治りました。

次の週に仕事に行くと、小さな女の子が工場内を走り回るのが見えました。キャッキャッと声を出すかと思われたが、なにも聞こえない。

それに、以前会った女性の幽霊の声が聞こえたので、その類なんじゃないかと思いました。もちろん、直感です。心霊体験なんて滅多にないので、楽しみでもあったのです。

ですが、彼女が私に声をかけることはありませんでした。
仕事場を走り回ったり、私といないいないばあっ!をしてみたり、だるまさんがころんだをしてみたり。

仕事をしながらですが、彼女と遊ぶことが楽しかったです。なんせ友達という友達がいなくて、一人でいることが多かったので嬉しかったです。

すると、ある日。工場長が「工場の場所を変えることになった」と言った。
その準備も進められると、彼女が工場内に現れることは無くなりました。少し寂しかったですが、これが運命だったのかも。そう思うしかありません。

準備が終わって、工場内にあるものを全て移動をした先、——今の工場で、再び彼女に会えました。

彼女は嬉しそうに、私の肩をトントンと叩いたり、ねえねえと声を掛けたり。

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