従兄弟の日記

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もうたえられない

読み終わった私は、恐らく従兄弟は最期まで気づかなかったであろう事に気がつきました。一人で震えていると、叔母が上がってきました。
「昼ごはん作ったんだけど、食べない？」
「うん、ありがとう。ひとついいかな？」
叔母は不思議そうな顔になりました。
「引っ越し先の知り合い、占い師だったりしない？」
叔母の顔は一瞬引き攣り、そして真顔になりました。

「だったらどうしたの？何か見た？」

私はこれ以上の詮索は不要と思い、急遽用事が出来たと伝えて一万円札を返し、徒歩で駅に向かいました。
去り際、少し振り返って叔母の家を見ると、2階の従兄弟の部屋の窓から、叔母が私をじっと見つめていました。
従兄弟の日記帳はカバンに入れて持ち出しています。
きっと、これを警察に渡しても誰も罪には問えないのでしょう。
それでも、従兄弟の気持ちが詰まったこの日記帳をあの家に置いておくのは、あまりにも酷いことだと思いました。
あれ以降、叔母と会うことはありませんが、どうやら最近再婚し、子供をもうけたそうです。
私しか知らない事実に、誰も気づくはずもなく、親戚にたくさん祝福されたそうです。
みんな、彼女が何をしたのかも知らずに。