結局あれはなんだったのだろう?という話
投稿者:ねこじろう (147)
短編
2023/03/08
17:03
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私は堪らず立ち上がると歩いて、受付カウンター横のトイレに入り洗面所で顔を洗いました。
前日あまり睡眠が取れてないから、おかしなものが見えているのでは?と思ったからです。
姿見を覗き込み何度となく両頬を叩き目を覚ますと、トイレから出ます。
そして再び席に戻る時、今度は正面からチラリとあの女の人の方に視線をやります。
その途端にゾクリと背筋に冷たい何かが走りました。
というのは変なんです。
あり得ない姿勢をしているのです。
普通正面を向いて座っている状態で後方を振り向いた場合、人の体というのはどうしても腰から上が後方に捻れるはずなのですが、あの女の人は胸もお腹も真っ直ぐ正面を向いているんです。
でも頭だけは、、、
私は急いで元の席に戻ると、女の人の姿が視界に入らないように目を瞑り頭を抱えていました。
激しい心臓の鼓動を喉裏に感じながら、、、
すると
○○さ~ん、○○さ~ん、診察室へどうぞー
ようやく私の名前が呼ばれました。
私は立ち上がると、そそくさと診察室の方へと歩いて行きました。
診察が終わり再び待合室に戻った時、もうあの女の姿はありませんでした。
それからその眼科には数回通院したのですが、再びあの女を見ることはありませんでした。
あの女の人は何を見てあんなに驚いていたのか?
いや、そもそもあの人はこの世の者だったのか?
女の人の驚愕に満ちた白い顔は、私の脳内の深いところに残像として張り付いて、今も取れることはないのです。
【了】
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