田舎暮らし
投稿者:リュウゼツラン (24)
短編
2023/03/12
02:55
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雄太は無言で僕を見ている。
「最近、ちょっと変じゃない?」
「変?」
心当たりは……あるか。
「うん。物忘れが激しくてさ」
「いや、そういうんじゃなくて……なんか……いや、いいや。今日は帰るわ」
「? うん」
言葉を濁した雄太は何かを言いかけ、部屋を出ていった。
翌日、雄太が行方不明になったと騒ぎになり、彼の親は警察に捜索願を出した。
僕は彼が心配で、学校をサボって探す。でも見つからない。
先日の犬探しの比じゃない位の人数で探すけど、雄太はどこにもいない。
雄太が失踪し二週間が経つ。夏休みは始まっているけれど雄太はまだ戻らない。
失踪前、最後に彼に会った人間は僕だったらしく、警察に聴取を受ける。
「何か思わせぶりなことを言って部屋を出ていきましたけど、その後はわかりません」
大した手がかりになるようなことも言えず、僕は解放された。
部屋に帰り、ふぅとため息を吐く。
雄太が心配だ。気まぐれな家出だったらいいけど……。
そんなことより、最近部屋が臭うんだよな。
前に雄太が臭いとか言ったから変に気になってるだけかな?
ベッドの下から腐敗臭がする。
一度も掃除したことがないから、きっと凄くホコリが溜まってるんだろうな。
見るのが怖いなぁ。
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