「お姉ちゃん、ホコリだらけだったね」
「え? 暗くなかったか?」
「暗いってなに?」
「ホコリってなんだよ」
と、そこでも話に食い違いが出たのです。
それからしばらくして、夕食の時間に、姉が2階から降りてきたときは、もう『暗く』見えていなかったし、妹も「お姉ちゃん、キレイになってるね」と言いました。
姉は相変わらずポカンとしていましたが。
私と妹は『霊感体質』で、姉にはまったくそのような傾向はありません。
そのころは『霊感』という言葉も知りませんでしたし、どのようなものかもよくわかっていませんでした。
ただ、『他の人にはまったく見えていない、聞こえていないものが、自分には見えていたり、聞こえたりしていることがある』と、ぼんやりと自覚していました。
そして、私と妹は同じような力があるけど、見えかた・聞こえかたが違うのです。
それは『力の強さの違い』で、実際妹のほうが強力なのですが、それは後々知ったことです。
その事象は、
毎日ではなく、ときどき起こる、
姉にはまったく自覚がない、
私と妹では『暗い』と『ホコリだらけ』の違いはあるけれど、見えたり消えたりするのは同時であること、
が、特徴として挙げられます。
いまなら姉の身に、なにかおかしなことが起こっているのだと気づけますが、まだまだ幼かった私と妹には、それが何なのか理解できませんでした。
しかし、それはいつの間にか収まり、『姉がいつもと変わって見えること』は起きなくなりました。
私は、なんだかよくわからないけどよかったなあ、と思っていて、妹も、「お姉ちゃん、ホコリがつかなくなったね」と安心しているようでした。
いったいあれは何だったのか?
それは、後から判明することになります。
そのとき、姉の友人にYちゃんという子がいました。
転校してきた姉が、初期の段階で仲良くなった子でした。
そのYちゃんと家族は、姉と知り合う一年ほどまえから、あまり良くない出来事が続いていました。
お父さんが怪我をしたり、お母さんが体調を崩して入院したり、Yちゃんのお兄さんが、二回も交通事故に遭って、そのたびに入院して学校を休むことになったり……。
Yちゃん自身も、ちょっとした怪我やもともと病弱ではないのに、しょっちゅう熱を出したり体調を崩したりと、いわゆる何かに祟られているのではないか、という状態だったそうです。
気にした両親が、お寺や神社でお祓いをしてもらったりお札を頂いたりしても、まったく効果はありませんでした。
そしてついに、Yちゃんの家が火事になり、全焼してしまったのです。
幸い、家族はだれひとり怪我をしませんでしたが、家が焼失してしまったので、公営団地に移り住むことになりました。
もう本当にどうなっているの、と家族は嘆いたそうです。
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