お局様の末路

電話口の声はいつもと違ってか細く、何かに怯えているように思えました。

私は何かやばいのかもと思って、すぐに道を簡単に説明していたのです。

しかし、そこで問題が起こりました。

どうやら相手のスマホの電波が悪いらしく、私の説明の声がうまく聞こえないみたいでした。

ずっとお局様が聞こえない聞こえないと言っている声が聞こえるのです。

間違いなくパニックになっている声でした。

その声がどんどん歪んでいって、最後に何かを言いかけたけど、私は怖くなって電話をこっちから切ってしまったのです。

すぐに電話を切ってしまったことを後悔し、折り返しさっきの電話番号に電話をかけたけど、相手には繋がりませんでした。

翌朝からお局様が失踪したという話を聞きました。

何でも夕方の内に車で出かけて、家族の誰にも何も言わずに車ごと姿を消したらしいです。

つまり私にかかってきた電話が最後だったのでしょう。

念のために教えた神社のほうに問い合わせたけど、その日お局様は来なかったと聞きました。

おそらく神社に辿りつくまでに間に合わなかったのでしょう。

私は電話の話を誰にもしていません。

彼女のスマホも見つかっていないし、言わなければバレないはずです。

あの人はどこに失踪してしまったのでしょう。

今でもお局様は自宅に帰っていないらしく、家族は行方を捜しているらしいです。

私はきっとあの後ろの影の仕業だと思っています。

お局様はおそらくその何かに襲われたのではないでしょうか。

お局様が失踪して、辞める理由がなくなり、私は今も穏やかに今の職場で働いています。

お局様に関しては今は罪悪感などはありません。

もっと早く私を信じて神社に行けば済む話でした。

ですがこうなった今、これまで私をいじめてきたことやあの日私を会議室に連れ込んで怒鳴り散らして責め立てたことは、すべて水に流してあげようと思います。