ちりんちりんちりん
投稿者:ねこじろう (147)
チラチラと見え隠れする。
屋根裏までは結構高くて、大人の身長くらいはあるだろうか。
すると右後方からビュンッと冷たい風が通りすぎた。
それと同時に、あの鈴の音が聞こえる。
─チリン……チリン、チリン……
俺は恐る恐る、懐中電灯を右後方に向けてみた。
そこには……
初めは店用のマネキンが置いてあるのか、と思った。
だが違っていた。
それは「人」だった。
心臓の音が喉元に響いてくる。
喉がカラカラだ。
緊張しながら改めて照らしてみる。
一瞬で全身に戦慄が走った。
薄紫色の着物を羽織りこちらに背中を向けたその「人」は暗闇の中、首を傾げて無造作にダラリと吊り下がっていた。
そしてどこからか入ってくる隙間風で微かに揺れて、ゆっくり回っている。
同時にあの鈴の音が微かに響く。
─チリン……チリン、チリン……
銀色の髪は半分以上抜け落ちており顔も手も青黒く変色し、しなびて固くなっているようだ。
変わり果てた姿にはなっていたが、その「人」は一階にあった写真の人だ。
鈴の音は、帯に差し込んでいる長財布に付けられた鈴が鳴っていたのだ。
暗闇の中呆然としていると、
コト、、コトコト、、
床を歩くような物音がする。
また右方からのようだ。
俺は慌てて懐中電灯でまた右奥を照らす。
そして再び全身に戦慄が走った。
懐中電灯の光の輪っかは、吊り下がった亡骸の側に佇む奇妙なものを捉えていた。
それは人型をした黒い影。
首の上には大方銀髪を失った皺だらけの女の顔がある。
女はまるで蜃気楼のようにユラユラ揺らぐようにふらつきながら、ゆっくり近付いてくる。
警察に通報した後が大変気になります。