ちりんちりんちりん
投稿者:ねこじろう (147)
十二月のある日のこと。
その日は例年になく寒く冷たくて強い風が頻繁に吹いていて、普通に歩いていると髪が乱れるくらいだった。
いつものとおり居酒屋の仕事を終え十二時くらいに店を出た俺は、急いで自転車で家に帰った。
シャッターを少し上げ薄暗い店内に入り、奥の階段から二階に上がる。
エアコンを入れ、すぐに服を脱ぎシャワーを軽く浴びて、部屋着に着替えると畳部屋の真ん中に布団を敷いて、電気を消して横になった。
この店舗の周辺は以前は栄えていた商店街だったのだが今はすっかり寂れており、夜中になると、とても静かだ。
時折、風の音が聞こえてくるくらいだった。その日は忘年会がいくつか入っていて店はかなり忙しかったから疲れもあり俺は目を瞑ると、すぐに眠りについた。
─チリン……チリン、チリン……
どれくらいの時間が経った頃だろうか。
俺は奇妙な物音で目を覚まされた。
半身を起こし、しばらく耳を澄ます。
─チリン、チリン……チリン……チリン……
コト……コト、コト……
弱々しい鈴の音の後に、何やら床の上を歩いているような音が聞こえてくる。
どうやらそれは天井裏からのようだ。
─猫でも忍び込んだかな?
俺はしばらく天井を見上げていたのだが、数分すると止んだので再び布団に入った。
鈴の音と足音は、その翌日の夜中も聞こえてきた。
そして、その翌日も……。
しかも、どこからか誰かに見られているような視線まで感じるようになってきた。
─このままでは、寝不足で、体を壊してしまう。
堪らず俺は三日目の夜中、天井裏を調べてみようと思い、仕事の後、部屋に帰ると椅子を畳部屋の隅に置いた。
それからその上に乗ると、天井の羽目板を一枚外して、頭一つ入れてみる。
途端に冷たい風が右の頬をくすぐり、かび臭い匂いが鼻につく。
真っ暗で何も見えない。
準備していた懐中電灯で、漆黒の闇に包まれた天井裏を照らしてみる。
光の輪っかが天井裏の暗闇をあちこち移動する。
複雑に組まれた長短の木材、
クモの巣、
あちらこちらに置かれている断熱材などが、
警察に通報した後が大変気になります。