こたつの中に
投稿者:ぴ (414)
短編
2023/02/20
18:08
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私は幼少時代の寒くてたまらないときに、こたつでぬくぬくするのが大好きでした。
冬になるとすぐに出してほしいと親にせがんだし、そこでごろごろするのが日課でした。
そのときもいつものようにこたつに入り、温かくなるのを待っていました。
でもしばらく時間が経っても一向に体が温まらないのです。
おかしいなと思って、こたつがついているか中を確認したのです。
いつもなら赤く光が灯るはずで、それを確認するつもりでした。
そして中を見て私はぞっとしました。
だって私がこたつの中を見たら、私の太ももから足にかけて、知らない女の人がへばりついていたからでした。
「ぎゃー」と叫んで、私はこたつを飛び出しました。
本当に怖すぎて、体は寒いのに汗だらだらでした。
しばらく茫然自失状態になり、気づいた兄に「何してんの?」と不審そうに聞かれたのです。
私の話を聞いた兄がおそるおそるこたつをめくったけど、そのときにはもうそこには誰もいませんでした。
家族は今でも私が夢を見たと思っているみたいです。
こたつでうたたねでもしていたのだと言われました。
でも私は確かに見たのです。
その女の顔は見えなかったけど、髪の長い女性でした。
私は大人になって家族ができても、こたつは使っていません。
あの日のことを思い出すと怖くなり、私が嫌がるからです。
我が家はこたつを一度も使ったことがありませんが、その理由をいつか子供たちに話したいと思っています。
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