秘密基地への道中に
投稿者:take (96)
長編
2023/02/03
23:25
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例の場所に差し掛かった時、私は泣きたくなりました。
女性がこちらを向いていたのです。
帰りは逆だから、女性は背中を向けているはずなのに……。
さらに、私が通過する時、
「あああ……」
と、女性が呻き声を上げ、思わず叫び出しそうになりました。
楽しそうに話しながら歩いている4人をよそに、私はげっそりとして、ふらつく足で山を下りたのです。
「また行こうぜ」
別れ際、R君がいうのに、力無く笑って頷きました。
(もう二度とあそこには行きたくない……でもまた誘われたらなんといって断ろうか)
まさか首吊りの幽霊がいるよとも言えないし……このままだとR君たちに悪影響が出ないとも限らないし。
女性の姿と呻き声を思い出して、悪寒に襲われながら溜息をつきました。
しかし、そんな私の悩みは意外な形で解決することになりました。
私が参加していない時、山へ行った仲間のひとりが、段差から転げ落ちて足を骨折したのです。
秘密基地のことは親や学校に知れ渡ることになり、厳重注意を受けて、山に入ることは完全禁止となったのです。
子供なりに、男としての仲間意識と意地に葛藤した、少年時代の思い出です。
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ほふく前進しても通れないよ。