松葉杖の女の子
投稿者:ぴ (414)
だけど、直前に行くのを辞めたのです。
理由は外がどしゃぶりの雨だったからで、仕方なく家のおもちゃで遊ぶことにしました。
雨音を聞きながら室内でおもちゃで遊んでいたら、窓の外で、「コンコン」と鳴りました。
顔を上げて見たら、あの松葉杖の女の子がそこにいたのです。
私はすごくびっくりして、すぐに窓の鍵を開けてあげようとしました。
しかし、そっちに向かいかけ、ふと「あれ?なんで私の家を知ってるの?」と冷静な私が思ったのです。
私はそこで妹の話が脳裏を過りました。
そしてすごく気になって、車のおもちゃに夢中になっている甥っ子に声をかけました。
「ねえ、窓の外に女の子いる?」て聞いてみたら、甥っ子が窓のほうをじーっと見て「いないよー?」と答えたのです。
私はそれを聞いて、体中がぞくぞくするのを感じました。
窓の外を見ると、雨でずぶ濡れになった松葉杖の女の子が確かにいます。
そしてこっちを見て、笑ったような気配がありました。
口元が動いて、何かを言ったような気がします。
私には「やっと気づいたの?」と口元が動いたように思いました。
それから私はあの公園に行くのをやめたのです。
単純に怖くて行けなくなりました。
自分でも調べてみたけど、本当にあの公園の近くでは交通事故があったみたいです。
あまりにすごい衝突で、女の子は即死だったとありました。
きっとあの子はまだあの公園でさ迷っているのでしょう。
自分が今も生きているかのように、交通事故にあった後の松葉杖をつく姿になっている様子は、なんだか生に執着しているようにも感じました。
ご冥福をお祈りします。
突然の出来事で、きっと、死んだことに気付いていないから成仏出来ていないだけですよ。
お寺に連れて行ってあげたら良かったのに。
不思議な、でも、あったかい気持ちなりました。