松葉杖の女の子
投稿者:ぴ (414)
寂しそうなので、つい「お母さんに電話しておばちゃん家でご飯食べていく?」と聞いたのです。
そしたらその子は少し驚いていたけど、考えた末に首を横に振りました。
そして私と甥っ子が帰っていくのを松葉杖をついて、手を振って見送ってくれました。
私はその子に手を振り返して、甥っ子と手を繋いで公園から出ました。
そしてその帰り道に甥っ子に不思議なことを聞かれました。
「ねえ、誰に手振ったの?」と甥っ子が聞いてきたのです。
私は誰って…とちょっと驚きました。
基本的に気持ちの優しい子なのに、まるであの目立つ松葉杖の子を無視するようなことをいうからです。
私は「杖をついた子にばいばいしたのよ」と言いました。
そしたら「杖をついた子なんていないよー?」と甥っ子に言われました。
何を言っているのだろうとその日は思ったのです。
それから次の日もその次の日も、公園に行ったらその子に会いました。
会うたびに足の様子を聞いてみたけど、まだ良くならないみたいでした。
連日その子は一人っきりで、保護者は誰もいないのです。
なのに公園の子たちもその親御さんも誰一人その子に声をかけないのが、とても違和感でした。
そしてその日の帰り道に、また甥っ子に「ねえ、誰と話してたの?」と私は聞かれたのです。
公園での話だと分かった私は、「杖をついた女の子よ」と説明したのです。
そしたらまた甥っ子に、「そんな子いない」と言われたのでした。
その日の夜にいつもどおり、妹夫婦が家に甥っ子を迎えに来て、3人で帰っていきました。
そしたら、その夜に妹から電話があり、思わぬ心配をされました。
どうやら妹は甥っ子から私がベンチに座って一人で誰かと話していると聞いたそうなのです。
それを聞いて、どうやら妹は私が心配になって電話したみたいでした。
私が松葉杖をついた女の子のことを説明しましたが、妹はそれを聞いて益々気になると言われました。
そして不気味な話をしてきたのです。
実はあの公園の近くでは昔交通事故があったらしいのです。
公園で遊んでいた甥っ子と同じくらいの年齢の女の子が車で跳ねられて、亡くなったと聞きました。
それからたまに公園で、松葉杖をついた女の子の霊を見たという目撃者が度々現れるらしいです。
もしかしたら交通事故で亡くなった女の子の霊がさ迷っているんじゃないかと噂されているらしいです。
その日はそんな馬鹿なと妹の話を笑い飛ばしながら少し気にかかりました。
私はその翌日も甥っ子を連れて、いつも通り公園に行く気でした。
ご冥福をお祈りします。
突然の出来事で、きっと、死んだことに気付いていないから成仏出来ていないだけですよ。
お寺に連れて行ってあげたら良かったのに。
不思議な、でも、あったかい気持ちなりました。