道を教えたせいで
投稿者:ぴ (414)
短編
2023/02/03
19:07
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5年ほど前だと思います。
マウンテンバイクで走っている人に道を聞かれて、道順を教えたことがあります。
このあたりの地理には詳しかったので、私はきちんと伝えたつもりでした。
だけど、マウンテンバイクの人はその後行方不明になってしまったのです。
小さな田舎での出来事だったので、あっという間に人が行方不明になったという噂が広まりました。
私はその人がどこに消えてしまったのか胸を痛めました。
私が悪いわけではないと思うけど、私の伝えた道順が間違っていたのかもしれないです。
怖くて誰にも道を教えた話はしませんでした。
そして最近の話です。
また私は同じ場所・同じ状況でマウンテンバイクの人に声をかけられて、道を尋ねられました。
私は悩んだ末に、「ごめんなさい。分かりません」と言いました。
また同じことがあったらどうしようと怖かったので、私は道を教えませんでした。
そしたらその人が言うのです。
「なぜ?前は教えてくれたじゃないか」とその人は言ったのです。
マウンテンバイクが走り去っていき、私は腕の鳥肌が止まりませんでした。
思い出せば思い出すほど、あの日行方不明になった人と自転車も後姿もそっくりでした。
5年前のあの人と最近会ったあの人が同一人物だったかどうかの確証はありません。
ただ「前は教えてくれたじゃないか」という意味深な言葉が今もぐるぐると渦巻いています。
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こわいてすね。
怖い。
2度目の人は、人間だったのか、幽霊だったのか。
2度目が別の人だったとして、教えなかったことで行方不明になってしまうのも恐いですね。