透明な小鳥
投稿者:ぴ (414)
私の子供はすごく人見知りで、人に懐かない子でした。
いつも私の体にひっついていて、片時も離れなかったです。
そんな子が何よりも好きだったのが鳥で、空を飛んでいる鳥を見ると、同じ子とは思えないくらいにはしゃぎまわって喜んでいました。
うちの子が急に「鳥がいる」と言い出したのはいつの日だったでしょうか。
家の庭に小鳥が飛んできたとしきりに言うようになったのです。
私は一度もその鳥を見たことがなかったけど、子供が言うならいるんだろうなと思っていました。
だけど、その日子供が庭で騒いでいたので声をかけると、「ここにいる」と小鳥がいる場所を指さしたのです。
子供が指さすところを見たけど、私は何も見えませんでした。
でも子供は「いる」と言い切ります。
私には見えない透明が小鳥がそこにいるというのです。
私は自分の子が心配になりました。
このことを夫に相談してみたら夫も知らないというのです。
私は何だかぞわぞわする不安に襲われました。
それから一週間も経たない内に、子供が幼稚園で大けがをしたのです。
幼稚園の先生たちが目を離した隙に裏の竹やぶから転がり落ちたと聞きました。
ケガのせいで病院で入院生活していたのですが、そのときにふっと聞いたのが「小鳥」の話です。
どうやらあの日も私が見えない透明な小鳥を幼稚園で見たらしいです。
それを追いかけていたら気づいたら怪我してたみたいでした。
この奇妙な小鳥なのですが、その事故での怪我の退院後4日後くらいに「小鳥がいなくなった」と子供が泣き出しました。
もう本当に世界の終わりくらいにわんわん泣いて悲しんでいました。
そして数日後からはまるで忘れてしまったかのように透明な小鳥の話はしなくなったのです。
大人になって子供に聞いたけど、小鳥のことは少しも覚えていないらしいです。
あの鳥は怪我の予兆だったのでしょうか。
分からないけど、子供は今も鳥が大好きだけど、私はそれ以来鳥が大の苦手です。
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。