オルゴールの選択
投稿者:ぴ (414)
昔、私はとても裕福な生活をしていました。
父が会社の社長をしており、生活は驚くほど豊かでした。
だけど父がすごく大事にしていたオルゴールを壊した日から急激に状況が変わったのです。
ある日家で遊んでいた私がそれを落として壊してしまって、オルゴールが動かなくなりました。
それから目に見えて事態が変わっていきました。
父は目に見えてがっくり肩を落として、落ち込んでいました。
自信家の父には珍しい様子でした。
私はそれを見て、とても反省したのです。
その日の夜に私は夢を見ました。
その夢にはとても綺麗なドレスを着たきらびやかな熟年の女性とボロボロの服をまとった貧相な顔のお兄さんが出てきました。
そして私に聞いたのです。
「お金持ちだけど不幸」と「貧乏だけど幸せ」のどっちを選ぶかと聞かれました。
私はその問いに悩んだ後、こっちと後者を選びました。
昔から父が「幸せが一番」と口癖のように言っていたからです。
偶然なのか必然なのか、その後私の家はかなりごたごたして一気に傾きました。
社長だった父が大きな事業で失敗し、経営状況が傾いたのです。
そしてその途中で詐欺にあうなどし、最後には会社が倒産しました。
そして今までの暮らしとは180度違う生活を余儀なくされたのです。
ただ貧乏は貧乏だったけど、前向きで働き者の母がいたおかげで、その後の貧乏暮らしもなんとか頑張れました。
家族みんなで支えあってお金はなくても楽しく過ごせた気がします。
後で父がオルゴールの秘密を教えてくれました。
あれは願いが叶うオルゴールと言われていて、海外で入手したらしいです。
願いと聞かれて私はあの日の夢を思い出すのです。
私はあの日「貧乏だけど幸せ」な生活を選びました。
そして今はなんだかんだ幸せです。
もしあの選択で「お金持ちだけど不幸」を選んでいたら、今私はどうなっていただろうかと恐怖を感じることがあります。
夢の選択が今の生活に関わっているのかどうかまでは分からないけど、父の口癖をよく聞いていたおかげで、私はあの日いい選択をしたと思っています。
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