黒くて伸びる人(加筆修正版)
投稿者:kana (210)
びっくりして体が動かない。でもこの距離である。
向こうからこっちが見えている可能性はそれほど高くない。偶然だろ?と思った。
ところがである。その黒い人は、あろうことかオレに向かってゆっくりと
「おいでおいで」をしたのである。
「ヤバイ!」
そう脳裏で叫ぶ。声なんか出ない。
何かわからないけど、咄嗟のことに恐怖感でいっぱいになり、
とにかく逃げようと「ダダダダッ」と、階段を脱兎のごとく駆け降りる。
すぐに1階に出て、脇目も振らず自分のバイクへ走る。
メットをかぶり、バイクにまたがりエンジンキーを挿して回す。その間ほんの数秒だ。
すると、バックミラーに信じられないものが映った。あんなに遠くにいたあの黒い人が、
今まさに交差点から自分のいる道路まで走って来ているのである。
そんな馬鹿な、人間の走るスピードじゃない。
オレはもう、アクセル全開で猛スピードでその場を離れた。
バックミラーには追うのをあきらめたかのようにヒタヒタと歩く裸足のそいつが映っていた。
合羽と思っていたそいつの姿は、昔の人が着ていたという「ミノ」のようなもので、
頭から足先まで真っ黒だと思っていたものは、実はどす黒く返り血を浴びたかのような姿だった。手には鈍く光るナタが握られていた・・・。
クルマがたくさん走る大通りまで走り出て、やっと少し落ち着いてアクセルを戻す。
「なんだったんだ、アレ・・・あぁ、いやだいやだ、恐ろしい!・・・そうだ、警察だ」
オレは帰る道すがらに警察署があるのを思い出し、助けを求めた。
パトカーが出動し、地域を捜索してくれたようだが、
結局怪しい人影は見当たらなかった。
じゃあオレが嘘をついたという事で警察に叱られたか?・・・と言うとそんなことはなかった。警察が公園に仕掛けてあった監視カメラには、確かに黒い、怪しげな人物が出入りしているのが映っていたのである。ただ、暗すぎてそれ以上の事はわからずじまいだった。
オレはというと、・・・もう一人で深夜残業はしないと誓うのであった。
kamaです。ぶっちゃけ言うと、大田区の多摩川沿いの町にある公園です。
多摩川沿いってのは実はこの横穴墓群という古墳時代の遺跡がけっこうたくさん出てるんですよ。
まぁこれ以上言うと場所特定されそうなんで内緒にしときます。
万が一分かった人がいても、内緒にしといてください。今そのあたりは高級マンションが建ってて、皆さん怖がるといけないので。
kamaです。
よくこうやって怪談を投稿すると、それに関するニュースが突然ながれてくるんですけど、
投稿翌日に「旧石器人や縄文人、弥生人はどんなコトバを話していたのか?」という記事が出てきました。なんか、ひっかかるんですよねぇ。