飴のおじちゃん
投稿者:ぴ (414)
私は学校帰りに変な飴をもらったことがあります。
知らないおじちゃんに声をかけられ、飴を食べたのです。
母から知らない人にもらったものは食べちゃだめと昔から口を酸っぱくして言われていました。
だけどその日、一緒にいた友達がさっさと食べてしまい「美味しい」と頬を抑えるので、私もつい口に入れてしまったのです。
その飴は今まで食べたことのない味で、病みつきになるおいしさでした。
その次の日、私と一緒に飴を食べた友達が学校を休みました。
私はその子が気になって、学校帰りに友達の家に寄ろうと思ったのです。
そしたら帰り道に昨日見た同じ飴のおじちゃんに出会いました。
おじちゃんは私を見るなり嬉しそうに寄ってきて、また飴をもらったのです。
食べようかと思ったけど、私はその飴を具合の悪い友達にあげようと思い、ポケットに忍ばせて友達の家に行きました。
友達の家でピンポーンと鳴らすと、お母さんが出てきました。
「アサちゃんいますか?」と私が聞くと、家に入れてくれました。
すごく元気そうで、なぜ学校を休んだのか不思議になるくらいでした。
でもしゃべってると違和感がありました。話し方が何か違うのです。
落ち着いているというか子供らしくないというか、いつもの友達とは違うような気がしました。
そして帰ろうとしたときに、アサちゃんに「そういえば飴食べた?」と半笑いで聞かれました。
私はポケットに入れていた飴を思い出して、「まだ食べてない」と取り出しました。
友達にあげようと手渡したら、無言で飴の袋を開けて私の口に無理やり入れそうになったのです。
私はなぜ無理やり飴を食べさせられそうになるのか分からず、必死に抵抗しました。まるでとっくみあいみたいになりました。
そうしていると部屋に入ってきた友達の両親に止められて、私は友達の家から逃げ出しました。
翌日、また友達は学校を休んでいました。
私はあんなことがあったのに、また気になって友達の家に行こうと思いました。
そしたら帰り道にまたあの飴のおじちゃんに会ったのです。
おじちゃんは嬉しそうに寄ってきたと思うと、少し眉間に皺を寄せて「君、食べなかったの?」と言いました。
何も言ってないのに、まるで私が飴を食べてないことが分かったみたいな口ぶりでおかしかったです。
おじちゃんは「食べたらすぐに大きくなれるのに」と不気味な笑顔で言い捨てて、飴を渡して去っていきました。
私は怖くなって飴を近くの公園のごみ箱に捨てて帰りました。
その後アサちゃんは重い病気になり、病院に通うためにどこかよその町に引っ越したらしいです。
それからの足取りは掴めません。
ただアサちゃんがそうなったのはあの飴のせいじゃないかと私は今でも思っています。
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