その子供が指を差すと終わる
投稿者:二十左衛門 (3)
僕が小学生の時、僕の周囲で不吉な事が起きていました。
発端は僕が交通事故に巻き込まれた時まで遡ります。
運悪く、高齢者の暴走車両が歩道に突っ込んできた際、下校中の僕も被害者の一人になりました。
外傷的には軽傷だったそうですが頭部を打ち付けたせいか当初は意識不明だったものの、数日後には意識を取り戻し、怪我も数週間で完治する程度で済みました。
そして、僕が目覚めてからしばらくすると、僕は自分と同い年ぐらいの子供を見かけるようになりました。
入院していた僕は歩けるまで回復すると、ほとんど毎日母や父が見舞いに来ては散歩に連れ出されていました。
勿論、リハビリの意味を込めて病院の敷地内を両親と一緒に歩くだけですが、院内を歩いていると稀に変な子供を見かけるのです。
扉が開きっぱなしの病室をちらりと見れば、患者衣というのでしょうか、若しくは貫頭衣らしき質素な衣服を纏った色素の薄い子供がベッドの足元に立ち、何かに向けて指を差していました。
始めはその子供が患者の家族だと思い変わった子供だな程度に思っていましたが、院内を散歩していると色んな場所で同じ格好をした子供を見かけるので、何かがおかしいと気付きました。
「ねえ、あの子何なんだろ?」
ある時、僕は母にあの子供が何なのか聞いてみたのですが、母は「どの子?」と僕が指差した方角をキョロキョロと見渡していて、母にはあの子供が見えない事を理解しました。
試しに父にも確認しましたが、やはり見えていませんでした。
そのせいもあってか、入院中は夜になると少し怖くて、親が帰ると決まって布団に潜り込んで消灯時間まで病室から出ないようにしていました。
とは言っても、生理現象には勝てずに夜中にトイレに起きた僕は、同室の患者を起こさないように病室を出ると、常夜灯の僅かな光源が浮き上がった暗い廊下を進み、トイレを目指して歩きます。
そして、その道中に例の貫頭衣を着た子供と出会ったしまったのです。
トイレに辿り着いた時、ふと目尻に何かを捉えたと思い振り向けば、廊下の先、とある病室の前にその子供の姿が不自然なほどに鮮明に浮き出て見えていました。
手摺り状のトイレのドアノブを握り、ゴクリと緊張し唾をのみました。
子供から目を離せずにいれば、やがてその子供は徐に片腕をすーっと上げると、目の前の病室を指差すのです。
何を意味するのかは分かりませんでしたが、僕はすぐにトイレに駆け込みました。
用を足して再び廊下に出た時は、子供が居た方の廊下を一切見る事もなく、自分の病室にそそくさと戻り、布団に潜り込みました。
とにかくあの子供が怖くてたまりませんでした。
翌朝、僕が目を覚ますと少し院内が騒がしくて、同室の年配の患者さんに何があったのか訊ねると、
「ああ、ちょっとね、亡くなったんだよ」
と、子供に言っていいものかと悩んだ末にポツリと教えてくれました。
さすがに小学生とは言え、病院で人が亡くなる事はドラマなんかでたくさん見ているので珍しい事じゃないと分かっています。
ただ、現実で人が、それも同じ患者が亡くなるのはなんだか言葉では言い表せないショックを受けました。
少し時間を置いてトイレに向かった際、亡くなった患者の部屋が昨夜例の子供が指差していた病室だと知りました。
トイレ近くに患者や家族が寛げるスペースがあるんですが、たまたまそこで話し込んでた患者さん達の話を耳にしたのです。
何でも、あの病室に居た人は元々容体が悪かったそうで、いつ亡くなっても不思議ではなかったと言っていました。
それからしばらくして僕は退院する事になったのですが、退院する間に貫頭衣を着た子供の姿は何度か目撃しています。
めっちゃ怖かったんだけど?
北斗の拳のセリフじゃないが「お前は既に死んでいる(又は死ぬ!)!」みたいだな。
死神の子供版?
ためはち
これは実際見えたら怖いな…
怖いだけじゃなく、語り手の主人公が何とか立ち向かおうとするのがいいね。それで痛い目にもあって、それでも最悪の事態を回避するために必死で抗って…手に汗握る感じで楽しめました。
タイトルから想像する通りの話しでした。
何度も失敗るのはまだ子どもだから?いずれ修行積んで立派な(?)死神になるんでしょうか?その日が永遠に来ないことを願う。