落とし物の携帯電話
投稿者:ぴ (414)
私はその日、駅で落ちている携帯電話を拾いました。
すごく古そうで、何年も使っていそうな年季の入ったものでした。
迷った末に近くに駅員さんがいたので、その方に預けたのです。
私はそれでこの件は終わると思っていました。
ですが家に帰宅後、温めたお弁当を食べていたら、カバンから何かメロディが流れてきたのです。
聞いたこともないメロディを不審に思いながら自分のカバンを探ったら、携帯が出てきました。
私の携帯ではなく、駅で拾ったあの携帯でした。
すごく驚きましたね。
だってそれは駅員さんに渡したはずのものだったからです。
なぜ自分のカバンの中に入っていたのか不思議でした。
とりあえず画面を確認すると、非通知で電話がかかっているようでした。
私は携帯の持ち主が落とした携帯を探している可能性があると思い、その電話に出たのです。
「もしもし」と私が言ってもまったく返答がありません。
まさしく無言電話で気持ちが悪かったです。
ずっと無言なので、通話を切ろうとしたら向こうから「お母さん・・・」て微かに子供の声がしたのです。
それっきり通話が切れてしまって、ものすごく怖くなりました。
翌日になって同じ駅の同じ駅員さんを呼び止めて、今度こそしっかり携帯を渡しました。
昨日も同じことがあったはずなのに、駅員さんはまるで携帯を渡されたのが初めてのような対応で携帯を預かりました。
その日は何度もカバンを確認して、あの携帯がないことを確認したのです。
それなのにその日の夜テレビを見ていたらまたあのメロディが鳴りました。
さすがに焦りました。怖くなって、冷や汗が止まらなかったです。
私はカバンを漁ってその中からあの携帯を見つけて、凍り付きました。
また預けた携帯が戻ってきたのが怖くてぞくぞく寒気がしました。
そして怖くなった私は画面を見ないまま、家の前のごみ捨て場に携帯を捨ててきたのです。
思わずやってしまった衝動的な行動でした。
翌日になって気になってごみ捨て場を確認したら、あの携帯はもう無くなっていました。
今もたまにあの出来事を思い出すと、ぞくぞくする寒気に襲われます。
ゴミ捨て場に捨ててまた戻ってきたらどうしようかと思ったけど、それはなかったです。
ただ気になるのは携帯電話は本当はごみに出してはいけない、ということです。
私はごみ捨て場にそのまま丸ごと置いてきました。
デンワ急げ、てすね。
不思議で怖いけど、携帯は捨ててはいけません。