親切な友人
投稿者:やうくい (37)
アパートに着くと、姉は白い布を取り出し
私に御守りを持ってくるように言った。
例の御守りを見せると、姉は青ざめ、目を背けた。
「どうしてこんなことを…」
そう呟くと白い布で包んで、ゴミ箱に投げ込んだ。
「それで、髪の毛はどこ?」
私が洗面所へ案内すると、姉は白い手袋を身につけ、髪の毛を掴むと手袋ごとゴミ箱に投げ込んだ。
「Aから他に何か貰ってない?Aに関するものは全部出しなさい。」
何が何だか分からないが、真剣な表情の時の姉には逆らってはいけないと知っている私は、言われるがままAに関するものを全て渡した。姉は全てゴミ箱に投げ込んだ。
「それじゃ、実家に戻るよ。」
困惑しっぱなしの私を他所に、先程いろいろ投げ込んだゴミ箱を抱えて姉は言った。
実家へ帰る途中、私は姉に色々尋ねることにした。
「結局、Aがどうしたんだ?」
「あんた、ほんと鈍いよね。霊に関して色々調べてたんじゃなかったわけ?」
ぐうの音も出ない私は、大人しく姉の話を聞くことにした。
「まず、心霊スポットでお菓子とジュースの飲み食い。ありえないでしょ。霊が溜まってる場所で飲み食いしていいと思ってるの?」
「Aが、小さい子供はそれで成仏できると…」
「根本から違うよ。小さい子供の霊は、足首を掴んで大人を転ばせる事はできない。それに、一緒に物を食べて成仏なんかしない。」
「じゃあ、俺が相手したのは…」
「たぶん大人の霊だね。あの髪の毛を見るに、女だろうけど。」
私は心底ゾッとした。なぜAは嘘をついたのだろうか。そして、私は女の霊に憑かれてしまったのだろうか。
「ようやくAがどういう奴か分かってきたみたいだね。ついでだから教えてあげるけど、盛り塩を取ったのもAだよ。」
「なんのために…?」
「あんたに食わせたんだよ。たまご雑炊を作ってくれたんだってね。」
「は…?」
「長いこと置いていた盛り塩なんて、人の体に入れたらどうなるか分からないよ。たぶんAは、あんたで実験してたんだろうね。」
私は再び吐き気が込み上げてきた。あんなに黒くなった塩を食べたら、どうなってしまうんだ。
「極め付けはあの御守り。御守りが聞いて呆れるよ。陰の向きに巻いた渦と、祝詞の逆さ読みを書いてるなんてね。既に悪い影響を受けてる人があんなのを直接持ってたら、すぐに影響が出るだろうね。」
友人と思っていたが、Aは私を実験動物のように扱い、殺そうとしていたのか。
それ以上は何も考えられず、私は俯き目を瞑った。
怖面白かったです!!
その後のAの様子が書いてれば更に良かった。
>>2
友達いないからAの情報すら入らないのがリアル。
最高でした!