みどりのおばさん
投稿者:ねこじろう (147)
短編
2022/11/19
20:26
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驚いて見ると、あのおばさんが泣き叫びながら救急車の側を右往左往してるんだ。
最後は、救急車が走り去った後も歩道にうつ伏せになって、頭を抱えながら嗚咽をあげていた。
その様は本当に痛々しくて見てられなかったのを今でもありありと憶えている。
事故の内容は、赤信号で横断歩道を渡ろうとした小学生の男の子が、トラックに跳ねられて亡くなったというものだった。
男の子は野球の朝練に向かう途中だったそうだ。
トラックはそのまま走り去っており、未だに見つかっていないという。
私はこのことを聞いた時、おばさんがいたはずなのに、どうしてその男の子は飛び出したんだろう?と思った。
そして事故の翌日から、おばさんの姿は見られなくなった。
3日経っても一週間経っても、あの交差点におばさんは現れることはなかった。
後から分かったのは、おばさんは自宅アパートの一室で首を吊って亡くなっていたそうだ。
遺書が残っていたらしく、そこには交差点の事故の責任は全て自分ですと書かれていたという。
警察の捜査途中で分かったのは、意外な真実だった。
事故当日の防犯カメラ映像によると、
そこには一人信号待ちしている男の子が映っていたのだが、背後から突然その背中を突き飛ばすおばさんの姿が映っていたという。
さらにそこには奇妙なものも映り込んでいたらしい。
男の子の背後に忍び寄るおばさんの背中に、白い野球ユニフォームを着た男の子がおぶさっていたというのだ。
【了】
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