そのタクシーの運転手は
投稿者:piko (6)
少しお酒が入っていた私が運転手に話しかけると、隣に居たE子が「何、知り合い?」と首を傾げます。
そんなE子を余所に運転手がゆっくりと半面だけ見えるように振り返れば、「ああ、あの時のお客様ですね」と会釈しました。
しかし、その半面しか見えない表情は何処かのっぺりとしていて、無愛想を通り越して無表情を貫き通した氷のように沈んでいたのです。
以前話した時同様に起伏が無い平坦な声色。
前回はあまり顔をうかがうような事はしなかったのですが、実際に表情を見れば「ああ、こんな感じか」と納得するような顔でした。
「E子が酔い潰れた時に呼んだタクシーの運転手さんだよ」
隣でよく分からないと言った表情で成り行きを見守っていたE子に事情を話せば、すぐに理解したのか恥ずかしそうに「ああ、そうなんだ」と苦笑いしていました。
「本日はどちらまで?」
「○○までお願いします」
そして、私達を乗せた車は緩やかに発進し、暗く静まり返った公道を進んでいきます。
「それにしても偶然ですね」
「そうですね。私も勤続10年になりますがこういったのは初めてです」
私は何となく運転手に話題を振ってみると、当然ですが、運転手はそれに答えてくれました。
勤続10年。
ふと座席の背中に貼られた自己紹介表みたいなものに視線を向けると、名前や趣味が書かれており、その中に『〇〇〇〇、36歳』とフルネームが載っていました。
落ち着いた声色にしてはまだ30代だった事に驚きましたが、そこに載せられた顔写真を見て少し息を呑みました。
差別的な発言になるかもしれませんが、片目が少し潰れているような感じで、生気の無い表情を浮かべていたのです。
私が少し緊張感を覚えると、「ちょっと不気味だね」とE子が小声で耳打ちしてきました。
流石に運転手に聞こえたら不機嫌になると思い一瞥でとどめましたが、至って平常にハンドルを握る姿を見て聞こえていないと思い少しホッとしました。
そして、E子と話しているとE子の自宅前に到着したので、私は下車するE子を見送りました。
車内に私と運転手の二人だけになると、運転手はすかさず車を発進させるので、私は「ん?」と少し戸惑いを覚えました。
「…あ、じゃあ○○までお願いします」
まだ行き先を伝えていないのに変だなと思いながらも、私は行き先を伝えました。
運転手は「はい」と淡々と業務をこなしているようでしたが、私にはその後ろ姿に違和感を拭いきれませんでした。
夜景が目映い橋梁に突入すると、運転手が沈黙を破ります。
「写真、見ましたよね」
一瞬「え?」とすっとんきょうな声が出ましたが、運転手はお構い無く続けます。
「私ね、生まれながら片目がおかしくてね、よくからかわれていたんですよ」
相変わらず運転手の声色には感情の起伏はありませんでしたが、何か沸々としたものを背中越しに感じました。
「気持ち悪いですよね」
なにこれ怖い
タクシー業界ってホントに怪談多いらしいね
客商売やると感じるのは、生きている人間が一番こわいと言う事です。
死んだことに気づかずに仕事していたのかしら?
そしたらなんかかわいそうだな
本当なら最近の実話怪談勢が飛びつきそうな魅力的な話ですね
不思議なはなしでした。
これ人間じゃないと思う。なんか波長が合ったとかで付き纏う様になったとか?
隻眼だと運転手になれないと聞いたことがあります。実話怪談話には、幽霊電車や幽霊バスもありますし、幽霊タクシーや幽霊ドライバーも現存するのかもしれません。
うちのじいさんも片目がほとんど見えなくなってからタクシーの仕事辞めさせられて町工場で働いてたから、
この人も殉職かもしくは辞めさせられたあとに亡くなったのかもね
色情霊かもしれませんね。
だいたい、なぜ狙われたのかもわからないですよね。誰でも、いいんですかね。
男って女に対しては性以外に何の用もないんだが、
性欲のある幽霊って嫌だなw
周りのアドバイスって本当に聞くに堪えないな。全無視したら人生成功しまくりなんだが