お盆の夜
投稿者:Bloodwycke (1)
私の実家では、お盆の時期に家族全員で集まって迎え火を炊くのが習慣でした。
日本では珍しいことでもないお盆ですが、私には忘れられないお盆の出来事があります。
私が小学校5年生のとき、ちょうど父方の従兄弟家族が東京から遊びにきており、一緒に迎え火を炊きました。
「久しぶりに息子2人と孫たちも集まって、おばあちゃん喜んでいるね」と話しながら、リビングに戻りました。
すると、消して外に出たはずのテレビが誰もいない部屋でついています。
変だな、と思いながらもテレビを観ていると、突然チャンネルがパッパッと変わりました。
テレビの不調か、さては従兄弟のいたずらだな!と思って振り返ると、従兄弟も不思議そうな顔でテレビを見つめていたのです。
何かおかしいと無言のうちに2人で怪しみながらも、怖くて言葉にすることができませんでした。
夕食時になり、テレビも消して皆でワイワイご飯を食べていると、普段はおとなしい飼い犬が部屋の隅に向かって突然激しく吠え始めました。「ダメよ!」と注意しても全くきかない様子で、ふと母が「もしかして、おばあちゃんが来ているのかもね。そこに誰かいるの?」と犬に向かって問いかけたところ、犬は母に訴えるように近づいて、部屋の隅に母を導きました。そして、クンクンと何か匂いをかぐような素振りをしたのです。結局、犬は夕食が終わってもその部屋の隅に座り続け、人間の目には見えない何らかの存在の隣に座って、我々を見つめているかのようでした。
その夜は興奮と何となく怖いのとでなかなか眠れませんでした。朝起きると、犬は部屋の隅ではなく、ピアノの横にある机の下をずっと見ていました。そしてやはり、母をそこに導こうとするのです。祖母は生前ピアノの先生をしていて、そのビアのは祖母の形見でした。母はガンを患った祖母を献身的に看病したと聞いたことがあったので、お盆で帰ってきた祖母の魂が母に何か伝えようとしているのかな?ふとそんな風に想像しました。
お盆が終わり、皆で送り火を炊きながら、人間の「魂」って本当にあるんだなぁと心に刻まれた、怖いようで不思議なお盆の出来事でした。
お盆にはあるあるな話ですよね。