ゾンビフィアンセ
投稿者:ねこじろう (147)
─あれ?
僕は死ねなかったのかな?
最初は、そう考えました。
だけど、どうもおかしい。
あの時、あれだけ水をいっぱい飲んで、もがき苦しみ長いこと呼吸すらも出来なかったはずなのに、普通に手足が動く。
しかも何日も水も食事もせずに何ともない。
そして、やっと僕は分かったんです。
僕は死んでいるんだと。
それからは来る日も来る日も僕は夢遊病者のように、フラフラ浜辺をさ迷っていました。
そしたらある日の夕暮れ時、海に漬かっていく美優さんを見つけました。
それでつい声をかけてしまって」
そこまで言うと、学という男は下を向き、今度は美優がしゃべりだした。
「わたし、学さんと一緒にいると、なぜだかすごく気持ちが癒されるの。この人とだったらずっと一緒にいれる。何度か会ううちに、いつの間にかそう思うようになった。
それと、ご飯を食べなくても平気みたいだから苦手な料理もしなくていいし、絶対わたしの方が先に死ぬから悲しまなくても済むし」
「でも生活はどうするんだ?
金もいるぞ」
私は気になっていたことを聞いてみた。
すると学が顔を上げ、またしゃべりだした。
「僕が働きます。
肉体労働でも何でもやるつもりです。
人間死ぬ気になれば何でも出来るとかいいますが、僕の場合は既に死んでいるんだから、どんな危険な仕事もできます。現に今原子力発電所の作業員に応募しているところです。」
そこまで言うと美優と学という男は一回だけ互いに顔を見合せ一緒に立ち上がると手を繋ぎ、
唖然として正座する私を尻目に、
そそくさと部屋を出ていった。
【了】
想像したらフイタw
人間死ぬ気に?なれば何でもできるで笑ってしまった。