ゾンビフィアンセ
投稿者:ねこじろう (147)
驚いた私は隣の妻の方を見る。
妻も呆気にとられたように、ポカンと口を開けていた。
「ということは、その……つまり……君は……」
「はい。死んでいます」
男はきっぱりと言った。
「もう……わたし絶えられない!」
そう言うと突然妻が立ち上がり、逃げるように部屋を出ていった。
「な、何を言ってるんだ君は?
死んでいるだと?
死んでいる人間が何でここにいるんだ!?
何でこんなところで正座して偉そうに喋っているんだ?
はは~んそうか、分かったぞ。
お前たちは二人して俺たち夫婦をからかっているんだろう。
そうだろう、そうにちがいない。
だったら今すぐ帰ってくれ!」
私は興奮しながら怒鳴った。
「パパ、お願いだから怒鳴らないで彼の話を聞いて」
美優が涙声で必死に叫ぶ。
すると学という男が話しだした。
「驚かしてすみません。
でも、本当なんです。
僕医者になるのが夢で、二十代の時から三十代まで正職にも就かず、毎年あちこちの大学を受験していました。
でも全くダメで。
お金があれば私立の医学部とかも受験出来たんですが、バイトだけで生計をたてていたものだから預金も十分じゃなく、受験出来るのも当然国立のみで。
気がついたら四十歳になっていました。
それで、いい加減けじめをつけようと、これが最後と去年背水の陣で受験したのですが結果は……
また不合格。
で、もういいやと思って海に行って崖から飛び降りました。
それからどれくらいの時間が経った頃でしょうか。
気がついたら、僕はどこかの浜辺で目を覚ましたんです。
想像したらフイタw
人間死ぬ気に?なれば何でもできるで笑ってしまった。