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心霊

ねこじろうさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

ゾンビフィアンセ
長編 2022/10/10 13:50 4,789view
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「パパ、ママ、わたしね半年前、死のうと思っていたの。
演歌歌手の元彼が今年自主製作したオリジナルCDが31枚しか売れなくて。
それでアパートに行ったら置き手紙があって……。
もう俺のこと探さないで欲しいって。」

美優の目は真っ赤に充血し、声は涙声になっている。

「わたしにとっては、彼がすべてだった。
彼無しの人生なんかあり得なかった。
だから、だから……わたし、、、
もういいかって、、、
それで、、、」

私と妻は、ただ美優の話に集中していた。

「去年買った白いワンピースを着て海に行ったの。
シーズン前の浜辺は誰もいなくて
蜜柑色に染まった砂浜をしばらくさ迷った後、パンプスを脱いで裸足になって、フラフラと水平線に向かって歩きだした。
どんどん進んで腰くらい漬かった時だった。

突然後ろの方から声がしたの。
おーい!おーい!って。

驚いて振り返ると、浜辺に紺のスーツを着た男の人が手を振っている。
まるで砂漠の蜃気楼のように微かに揺れながら。
その声がとても優しくて心地よくて、なぜだかわたし、またゆっくり浜辺に向かって歩きだした。」

「それから、学さんと二人浜辺で体育座りして、夕陽を眺めながらいろんなことを話した」

ここで初めて男が口を開いた。

「入水自殺なんか決してきれいなもんじゃない。
逝くまでは地獄の苦しみだし、
その後の遺体もパンパンに膨れあがっていて酷い状態だよ、と美優さんに言ってあげたんです」

「何で、そんなに詳しいんですか?」
私は男に尋ねた。

「僕がそうだったから」

「は?」

「あの、つまり僕自身が同じような死に方をしたからです。」

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コメント(2)
  • 想像したらフイタw

    2022/10/13/16:41
  • 人間死ぬ気に?なれば何でもできるで笑ってしまった。

    2023/07/30/17:15

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