鳴りやまない騒音
投稿者:ぴ (414)
そしてある日我慢ができなくなって、管理人に連絡をしたのです。
管理人にその話をすると、少し動揺しているみたいでした。
私はそのどもった声を聞いて、以前も同じように住人同士で騒音トラブルがあったのかもしれないと思いました。
管理人は「注意しておきます」というので、それを信じることにしました。
前もトラブルがあったのであれば、すぐに管理人が入って対応してくれるだろうと信じたからです。
でもそれからしばらく経っても、夜に聞こえてくるピアノの騒音は鳴りやみません。
むしろ日に日に騒音が大きくなっている気がして、ノイローゼぎみになっていました。
会社の人にも調子が悪いことは筒抜けでした。
連日の寝不足のせいで、いつもはしない失敗がとても増えていたし、あからさまに顔色も悪かったです。
それを心配する同僚にはぶつくさ騒音の話をして、なんとかやっている感じでした。
けれどある日、会社で酷い失敗を繰り返してしまい、さすがに上司に厳しいお叱りを受けました。
最近どうしたのかと聞かれ、私は渋々と騒音被害でよく眠れていないことを打ち明けたのです。
管理人に任せたままにしていた私の事情を知った上司は、もう一度管理人に電話してすぐにでも対応してもらえと無理なことを言ってきました。
そして私はもう一度管理人の方に連絡をしたのです。
管理人は私の話を聞いて、すごく困っていました。
なぜなら上の階に住んでいた住人はとっくに別の部屋に転居させたらしかったからです。
しかも、上の階の人はピアノなんて弾いたこともないご老人だったと私に言いました。
つまり私の上に住んでいる人は今はいないというのです。
けれどここ数日に連日でピアノの狂ったような音楽を聴かされていたことは確かなのです。
どういうことだと思って腹が立ったけど、管理人が嘘をついているようにも思えませんでした。
だから少し様子を見てみることにしたのです。
そしてその日の夜もいつもの時間に寝ようとしたら、またあのピアノの旋律が聞こえてきました。
これを聞いた瞬間に、「やっぱり嘘じゃないの」と管理人を心の中で責め立てました。
そのピアノが数十分近く続くので、私は腹が煮えたぎるような怒りに襲われて、階段で上の階に向かったのです。
一言くらい文句を言ってやろうと思いました。
さすがに連日の寝不足で、怒りのメーターが我慢の限界まで来ていました。
普段の私はどちらかというと冷静で、そういうことをするタイプじゃないのです。
だけど、その日は我を忘れて、気づいたら上の階のドアをはちゃめちゃに叩いていました。
ドンドンドンドンと激しくドアを叩いたけど、うんともすんとも部屋から音がしないのです。
それに部屋も電気がついていなくて、まるで部屋に誰もいないように見えました。
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