異世界磔刑
投稿者:バクシマ (40)
長編
2022/10/05
11:59
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青年は一番威厳のありそうな老人に声をかけた。
「はじめまして。僕は異世界から転生された賢者です。あなた達を救いに女神から遣わされました。」
はたして元の世界の言語が通じるだろうか?
「なんと賢者様ですか。どうか我々をお救い下さい。」
おお、凄い通じたぞ。これも女神のくれたチート能力なのか?
話しかけた老人はこの集落の長老らしく、さっそく長老は住人達を広場に集めて、青年を救世主の賢者だと紹介した。
青年は救世主と紹介され気持ち良くなり、
偉そうに自分のいた世界の知識をひけらかした。
かまどの作り方や、井戸の掘り方を語った。
しかし住人達は怪訝な顔をしている。
うむ?話が地味すぎたか。
ならばこれはどうだ。
青年はスマホを見せびらかした。
ところが住人達は失望した顔をしている。
なんだこいつら。
それでは派手な話でもしてやろう。
青年は核兵器について悠々と語り出した。
その話をした途端に鬼の形相をした住人達から石を投げられた。
この、原始人め、いったい何をするんだ。
すると長老は青年に近づき、地面にねじ伏せた。
「なにをするんだ!」
青年は喚いた。しかし老人は静かに語る。
「お前のひけらかした物は、すべからく我々はお前以上によく知っとるよ・・・」
「はぁ!?」
「・・・なんせ、ここはヒノモトだからのう・・・」
ほどなくして青年は磔刑に処せられた。
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現代版星新一的なものが書きたかったのかな?