何のための侵入だったのか

その言葉で私は、今まで疑問に感じつつも深く考えていなかった
「なぜ、私が大荷物を両手に持っている時だけ
Aさんが私達を待つようにオートロックの扉を開けてくれているのか。」
という疑問の真実を見た気がしました。

偶然ではなかったと、私の荷物が多いのを確認した上で
扉を開けに来ていたのだと理解しました。
その日は夫が居た為にAさんが出てくる事はありませんでしが
それを裏付けるような出来事が、その後に起こりました。

あの日、いつものように大荷物をもって帰宅した私が
オートロックを解錠しようとした時、
Aさんが焦ったように急いで玄関から飛び出してきて

扉を開けてくれたのすが、その足元は裸足でした。

あぁ、間違いなく窓から私達の帰宅を見ているんだと確信し
ぞわぞわとした恐怖を覚えました。

そして、それと同時に
「なぜ、子供が玄関先で私に大きな声で話しかけてくる日ばかり
Aさんが家から出てくるのか。」

「なぜ、夫が居ると、玄関で子供が大きな声で話し始めても
Aさんは出て来ないのか。」

という疑問の答えも想像が簡単に出来ました。

何かが起こってからでは遅いと直ぐに夫に相談し、引越することに決めましたが
引越し先を決めている最中に事件が起きたのです。

その日、我が家には単身赴任で遠方に住んでいる義父が孫に会いに来ました。
少し経ってから車に忘れ物をしたと、取りに行くことになり
戻ってくる際にオートロックを通れるようにと私の鍵を渡しました。

義父は直ぐに忘れ物を手に、戻ってきましたが
息子の家、ましてや馴れないオートロックだった為に、家に戻る際
オートロックを通過したことで、すっかり気が緩んでしまい
家の玄関の鍵を締め忘れてしまったのです。

そのことに気付いていない私達は、雑談に花をさかせていました。
すると突然玄関のドアが開く音がしたのです。
私も義父も、夫が帰宅したと思い、出迎えたところ
・・・そこに居たのはAさんでした。