かくれんぼ
投稿者:ぴ (414)
私が困惑していると、めぐちゃんは私を結構な力で突き飛ばして、私は思わずその場に尻もちをついて驚きました。
めぐちゃんが「隠れて~」てけらけら笑いました。
笑っているはずなのに、その顔がなぜか怖かったです。
めぐちゃんが数を数え始めて、私を含めた子供たちは蜘蛛の巣を散らすように駆け出していきました。
私も気が進まないまま、流れで身を隠す場所を探しました。
周りの子は素早くいろいろな場所に散って、早々と隠れる場所を確保していました。
私はこの家に来たのが始めてだったこともあり、隠れる場所に苦戦しました。
どこにしようかギリギリまで迷って、やっと決めたのです。
そこは階段を上った二階の子供部屋のような場所にある大きなクローゼットの中でした。
隠れた後に、後悔しました。
なぜなら中が思った以上に暗かったというのもありますし、もう一つは私の前に先客がいたからなのです。
真っ暗で最初は何も見えなかったけど、私以外にもう一人誰かがいる気配がありました。
最初はお化けかなにかと勘違いしてドキッとしたけど、間違いです。
目が慣れてくるとそれが私と同じくらいの子供だと分かって安心しました。
おそらく、私が隠れる前にここを見つけて隠れていたのだろうと、同じ場所に隠れてしまったことを申し訳なく思いました。
その子は私に「あなた誰?」と聞くのです。
名を名乗ると相手は「みゆき」という女の子だと教えてくれました。
私はみゆきちゃんとこそこそ、クローゼットの中で話をしました。
真っ暗でドキドキする心臓の音を聞いていたので、その状況も重なって、私たちは少しの時間でものすごく仲良くなった気がします。
なんだかすごく気が合ったし、話していて楽しかったです。
それに二人して隠れながらこそこそ話している状況に興奮したのもあったかもしれません。
そうしていると子供部屋の扉ががちゃっと開く音がしました。
その瞬間隣のみゆきちゃんが急に「しっ」と私の言葉を遮り、緊張感をはらんだのが分かりました。
誰かが外から私たちを探している気配がありました。
最初は鬼だっためぐちゃんかと思ったけど、息遣いが違うのです。
なんというか「フンフン」とすごく荒い息遣いをし、獣みたいにのしのしと部屋を歩きます。
部屋をくまなく探そうとしているのが分かりました。
隣でみゆきちゃんが体を固くしてガタガタ震えているのが分かりました。
その様子が尋常ではなくて、ただのかくれんぼとは思えないくらいの緊張感でした。
しばらくして鬼が部屋から出ていく音がして、隣のみゆきちゃんと一緒に深い深い安堵のため息を吐き出しました。
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