1985
投稿者:ねこじろう (147)
早島が目を開いた瞬間、彼の視界に白い天井と若い女性の顔が飛び込んできた。
女性は薄いブルーの制服を着た看護師のようだ。
「早島さん!早島さん!
ああ、良かった。意識が戻ったのね。
すぐ、先生を呼んできますからね」
そう言うと看護師は早島の寝ているベッドを離れ、部屋から出ていった。
彼は、頭部や身体のあちこちにぐるぐる包帯を巻かれ、
腕には点滴がされている。
痛みを感じるのか、時折顔を歪める。
やがて若い医師が看護師を伴い部屋に入ってきて、早島の枕辺に立つと声をかけた。
「早島さん、私たちが分かりますか?分かるのなら、返事してください」
早島は微かに首を傾け「はい」と答えた。
「早島さん、あなたは5日前、うちの病院に緊急搬送されました。重度の火傷と一部の臓器や血管の損傷、左下肢の切断。ひどい状態でした。もちろん、あなたと一緒にいた人たちも。」
「どうして、どうして、こんなことに?」
早島の問いに医師は少し間をおき答えた。
「まだはっきりとは分かっていないのですが、あなたは市民ホールで開催された同窓会に出席していた。それから、かつての母校に皆で移動した。その後どういう理由からか、皆で校庭の隅に集まった時、何かが爆発したようです。」
「爆発、、、」
「そうです。何故あんな場所で爆発があったのか?現在、警察で調査中です。」
「他の、他の連中はどうなったんですか?」
「かなりの威力の爆発だったようで、ちぎれた腕や足が木の枝にぶら下がっていたり、地面には頭部だけが転がっていたり、現場は酷い惨状だったみたいです。被害者は当院以外にもあちらこちらに運ばれたようなのですが、恐らく半数は絶望的かと」
「あの金庫だ、、、」
早島がボソリと一言呟いた。
すると医師は「え、今何かおっしゃいましたか?」と、彼に確認したが、
早島は何も答えずにまた静かに目を閉じた。
【了】
復讐...