やさしいお地蔵さま
投稿者:HAL (7)
当時小学生だった私は、夏休みも親は忙しかったため、毎年夏は祖父母の家で過ごしていました。
毎年たった一か月だけではありましたが、祖父母の家の近くには年の近い子どもも多く、私は退屈することなく、毎日のようにその子たちと遊んでいました。
ある日、1人の子に夜花火を一緒にしないかと誘われ、7人の友人と誘ってくれた子の父親と私を入れて計10人で、少し遠い公園まで行き花火をすることになりました。
最初は楽しく花火をしていたのですが、1人の友人と誘ってくれた子の父親がトイレに行くと言ってから帰ってこなくなってしまい、私たちは心配になりトイレまでみんなで見に行ったのです。
しかしトイレには誰もおらず、幼い私たちは好奇心でいっぱいだったため、残った8人で2人を探しに行くことにしました。
最初は公園を探していたのですが、どうにも見つからずもっと遠くに行くことになりました。
公園から少し歩くと大きな池があるのですが、そこで私たちは8体のお地蔵様を見つけました。
お供え物はありませんでしたが、お参りをせずに行っちゃだめだと一人の子が言うので、お地蔵様にお参りをして、その池の奥の小山まで入っていきました。
木々がうっそうとしていて、はじめは好奇心でいっぱいだった私たちも、どんどんと怖くなっていき、泣き出してしまう子もいたのです。
そして、それ以上は進めなくなってしまい、みんなで途方に暮れていると、後ろから「おーい、こっちだよー」という声が聞こえ、私たちは声の方に進みました。
すると最初のお地蔵様のとこに戻っており、そこにはいなくなった2人が待っていたのです。
その2人にどこにいたのかと聞くと、トイレにいたと言われ、私たちがいなくなってから5分もたっていないことがわかりました。
そして、私たちをよんだ声のことを聞くと、そんな風に呼んでないとも言われ、不思議におもっていると、後ろにいたお地蔵さまが10体になっていたのです。
後々聞いた話ですが、そのお地蔵さまはもともとその町の人を守るためにつくられたものであること、もともとの数は10体であること、私たちが入った小山は昔孤児をいけにえにするような山だったとのことでした。
私たちがどうなっていたのかはわかりませんが、きっとあのお地蔵様に守られたのだと思います。
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