パチパチパチパチパチ…
手の甲と手の甲を合わせて、
パチパチパチパチパチ…
異質極まりない空間でした。
はっきり言って不気味ですが、
もう後には引けません。
軽く会釈をした後、
私は普通座席の方へと座ります。
するとつり革に捕まっていた腰の曲がった老人がこちらへ喋りかけてきました。
「違うよ、お兄さんはあっち。優先座席。」
「まだ、若いのに亡くなって気の毒だねぇ。」
「せめてここではゆっくり休むんだよ。」
薄々違和感には気づいていましたが、
そう言われて初めて私は亡くなったんだと
知覚することが出来ました。
ここは死んだ人ばかりが集まる電車のようです。
そこに乗る私もつまりは死人。
意外にもショックは大きくありませんでした。
元々働くのが精神的にも
きつかったのが大きかったんだと思います。
私は謎の安堵感に包まれながらゆったりと
席に腰を下ろしました。
電車が動き出します。
ゆらりゆらりと車体を揺らしながら電車は
真っ暗の闇の中を進んでいきました。
つり革にぶら下がる老人や隣の若い男性と
話をしながら、まだわからぬ目的地へ
行くまでの時間を過ごしました。
途中途中電車は駅に止まります。
そしてその度に入ってくる死人を裏拍手で迎え入れました。
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あの世に鉄道乗ってく話って多いけど、鉄道網が異常なまでに張り巡らされた日本特有だよね。
ホラー映画を見ているような怖さがありました。